過去ログ - 魔術士オーフェン無謀編・死にたい奴から前に出ろ!
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13:1[saga]
2017/04/15(土) 02:45:55.37 ID:Ip5evVVC0

「で、金はあるのか?」

「もちろんです。計画性の欠片もない姉様とは違いますもの。
 わたし、オーフェン様との結婚資金として貯金していますの。もう金貨で10枚ほど貯まりましたわ」

「……何て言えばいいのか分からんが……とりあえず、その努力をもっと別の方向に活かした方がいいと思うぞ」

「もう、オーフェン様ったら冗談ばっかり」

 頬に手など当てて顔を赤らめるボニー。

 どこまでも噛み合わない会話に、オーフェンはがしがしと頭を掻いた。溜息を吐きつつ、諭してみる。

「あのなぁ。さすがにそんな金を、わざわざ借りる必要もない借金の返済に充てさせるなんて出来るわけねえだろ」

「別に構いませんわ。オーフェン様の為になるのでしたら」

「だから、そういうことじゃなくてだな。俺の人間としての尊厳の問題というか……」

「まあ!」

 感極まったように、ボニーは口に手を当てて一筋の涙を流した。

「オーフェン様が、わたしのことをそこまで大事に想って下さるなんて……」

「いや、まー、そういうことになる……のか?」

「でしたら」

 首を傾げ続けるオーフェンに対して、ボニーは笑顔を浮かべてぱん、と手を打ち鳴らして見せる。
 これで問題は万事解決だと言わんばかりの態度で、

「金貨一枚だけお借りする、というのは如何でしょう。
 そのお金で、今晩はコギー姉様やマジク君も一緒に、ささやかなお祝いの席を設けるというのは」

「お祝い?」

「オーフェン様がまっとうにお金を稼ごうと、更生の道を踏み出した日の記念に」

「いや……決して合法(まっとう)じゃないんだが」

 呟きながらも、オーフェンは無意識の警戒を解き、肩の力を抜いた。
 拒んだところで、ボニーはどこまでも食い下がってくるだろう。ならここで手を打つのも悪くない選択かもしれない。


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