過去ログ - 魔術士オーフェン無謀編・死にたい奴から前に出ろ!
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17:1[saga]
2017/04/15(土) 02:49:01.84 ID:Ip5evVVC0

「共同経営、という形なら如何でしょう?」

「共同経営ぃ?」

「はい。黒魔術士殿は私にお金を貸す――そして私はその資金と自前のアイディアで事業を興す。
 その事業の経営権は私と黒魔術士殿で折半。つまり、黒魔術士殿の懐には労せず収益の半分と、さらに私からの返済分が入っていくわけです」

「……それだけなら確かに破格の取引だが」

 キースからの返済、という部分には期待できなくとも、経営権の半分を持っているというのであれば確かに金は手に入る。

「っていっても、このご時世、上手くいく保証なんざねえだろ。一応聞くが、どんな事業を興す気だ?」

「黒魔術士殿は、私の職業をご存知ですかな?」

「職業って……執事だろ?」

「正確には、マギー家の執事見習いということになります」

「そうだっけか?」

 そういえば、どこかでそんなことを聞いた気もする。彼以外の執事など見たことがないので、どうも実感が湧かなかったが。

「今は経験を積むため、ボニー様付の執事をしておりますが、お恥ずかしい話、やはり一人前の方々には及ばず……」

「前々から思ってたんだが、マギー家っていったいどんな魔境なんだろうな」

「ですので私、そろそろ完全体になってみようかと」

 そんな聞き捨てるにはあまりにも衝撃的な台詞を吐くと、キースは何処からともなく紙切れを取り出して見せた。
 どうやらチラシの類らしい。目に痛い原色刷りで、こんなことが書かれている……

 『みんな集まれ! わくわくもりもり執事養成教室! 紅茶の入れ方から毒薬の取り扱いまで完全サポート!』

 顔を伏せるオーフェンを余所に、キースはチラシをペシペシと叩きながら能面のような表情で続けてきた。

「こちらでパワーアップを図りまして、ついでにノウハウを盗み、執事講座を開くつもりです。
 私もいずれは後継者を育成したいと思っておりますし――」

「誰がんな邪悪な企みに協力するか変態執事ぃぃぃい!」

 全力の絶叫と共に、甲高い音をたてて発動した熱衝撃波は、食堂の一部ごとキースを吹き飛ばした。

 破壊された壁の向こう側に、底が抜けたような昼下がりの空と代わり映えのしないうらぶれた路地が見える。

 ぜぇはぁと乱れる息を治めようと努力しながら、オーフェンは乱れた髪に手櫛を入れた。呟く。

「ったく……なんで俺の知り合いにはまともな奴がいねえんだ?」

「類は友を呼ぶ……でしたっけ。とりあえず、壁は直しておいてくださいよオーフェンさん」

 吹き込んでくる風と、背後の厨房から飛んでくるマジクの言葉が、どこか寒々しくはあった。


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