過去ログ - 魔術士オーフェン無謀編・死にたい奴から前に出ろ!
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2017/04/15(土) 02:51:05.50 ID:Ip5evVVC0
「オーフェェェェン……」
背後から響いたのは、墓場の下に眠る亡者の口から漏れるような恨みがましい声である。
振り返ると、そこに居たのは先ほどボニーに連れて行かれた筈のコンスタンスだった。
ただし、何故か全身びしょぬれで、頭には水草らしきものが刺さっている。あからさまに疲弊しているようで、警棒を杖代わりにしていた。
「おう、コギーじゃねえか。そんな恰好じゃ春先とはいえ風邪ひくぞ?」
「好きでびしょ濡れになってると思う!?」
がっぽぐっぽと水の入った靴を地面に叩きつけるような勢いで、コンスタンスが近づいてくる。
「あの子ったら"とりあえず水でも掛ければ起きるでしょう"とか言って、わたしをマスル水道に投げ込んだのよ!?
危うく溺れ死にそうになるし! 寒いし! 気絶させたのはオーフェンなんだから責任取りなさいよ!」
無茶なことを言ってくるコンスタンスに、だがオーフェンは言い返さなかった。
しばし、彼女を観察する。水流に曝されたせいで髪は乱れているし、ただでさえ化粧っ気のない顔が輪に掛けて子供っぽくなっていた。
一通り確認してから、オーフェンは再び営業用の笑顔を浮かべ、
「そのままの君が一番綺麗だよ――」
「そんなこと言われたって誤魔化されるもんですか!」
何故だかさらに激昂するコンスタンスに聞こえないよう、小さく舌打ちをする。
お気に召さないようだったので、オーフェンはあっさりと対応を切り替えた。右手を彼女に向けて、構成を展開する。
「我は流す天使の息吹」
「ちょっ――」
咄嗟に防御態勢を取ったコンスタンスを魔術の効果が捉える――ただし、いつものような爆発や衝撃は起きない。
オーフェンの右手から発生したのは熱を伴った風だった。
肌を焦がすような高熱ではないし、木々をなぎ倒すような強風でもない。適温、適風量。みるみる内にコンスタンスの服と髪が乾いていく。
スーツが湿った紺色から元の青さを取り戻すまで、およそ1分というところだったろうか。
顔を覆っていた手を恐る恐る開き、ペタペタと全身を触って確認するコンスタンスはびっくりしたような表情を浮かべている。
「へえ、こんな便利なこともできたのねー。なんだかお風呂上りとかに重宝しそうな感じ」
「そりゃ、まあな。別に壊すだけが魔術じゃねえし」
「あんたが言うと一気に説得力なくなるけど」
小さくうめいてから、コンスタンスは表情を笑みの形に切り替えた。
「まあ、ありがと。でも、いつもはこんなことしてくれないじゃない。どうして急に?」
「? おかしなことを言う奴だな」
意味が分からない、という顔をしてオーフェンは肩をすくめて見せる。
「友達に手を貸すのに、別に理由はいらんだろ」
「オーフェン……」
コンスタンスが呟く。小さすぎて、そこに込められた感情を察することができない。そんな声量である。
まだ寒いのか、自身の身体を掻き抱く様に手を回しながら彼女は続けた。
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