過去ログ - 魔術士オーフェン無謀編・死にたい奴から前に出ろ!
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7:1[saga]
2017/04/15(土) 02:41:12.55 ID:Ip5evVVC0
 そんな信頼の証も、コンスタンスは気に入らなかったらしい。ばんばんとテーブルを叩いて抗議の意を示してくる。

「だーかーらー! 警官が非合法の金融業者から借り入れなんて出来るわけないでしょ!」

「そら、別に無理にとは言わんが……」

 そう言って、オーフェンは懐から1枚の封筒を取り出して見せた。封蝋には、派遣警察を示す刻印が捺されている。

「なにそれ?」

「今朝、ダイアンの御大がお前に渡しておいてくれって置いて行った。下宿に居なかったからって」

「ああ。だって昨日は資料室に閉じこもって始末書を書いてたんだもの。
 見えるところで書いてるとあのむっつり詐欺師に嫌味言われるし、うっかり犯罪組織の内偵リストに零しちゃったインクの始末もしてたし」

「お前のミスは今に始まったことじゃねえし、聞いても意味ないとは思うんだが……始末って?」 

 訊ねながら、コンスタンスに封筒を手渡す。彼女はワックスをパキリと割りながら、あっけらかんと答えてきた。

「きちんとホワイトで塗り潰してきたけど」

「いや、まあ、別にいいんだけどな。俺は関係ねえし……納得はいったが」

「なによ、納得って――」

 疑問を上げかけたコンスタンスの口がぴしりと固まる。いや、固まったのは口だけではなく、全身だった。
 固着した視線は手紙の文面の上に落とされている。

 顔面を蒼白にしながら固まるコンスタンスに、オーフェンは目を閉じながら告げる。
 それはこの腐れ縁の警官に対する、せめてもの慈悲のつもりだったが。

「減給――3か月だそうだ」

 彫像のようになったコンスタンスが手紙を取り落した。
 手元にまでひらりと飛んできたそれを、オーフェンが無造作に指先で捕まえる。

「ついでに来月のボーナスも取り消しだと。ちょっと驚いたぞ。お前、まだ削れるだけの給料貰ってたんだな」

「……」

 魂が抜けたような面持ちで、虚ろに天井の辺りを見つめているコンスタンスは返事もしない。構わず、続ける。

「そーいやお前、こないだブランド物のバッグだか財布だかを買ったって自慢してたっけ。
 凄いなぁ。出なくなるようなボーナスに頼らなくてもいいよう、倹約して貯金をしているんだろうなぁ」

 回収した手紙を適当に四つ折りにし、オーフェンはそれを改めてテーブルの上に置いた。
 他意はないが、重しとして適当なものが無かったので、金貨の山をひとつ、乗せてやる。


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