過去ログ - 魔術士オーフェン無謀編・死にたい奴から前に出ろ!
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2017/04/15(土) 02:41:48.49 ID:Ip5evVVC0
「おっと、話が逸れたが、コギー。融資の件はなしってことでいいんだよな?」
相手の反応を待たずに、オーフェンはテーブルの上の金貨の山をひとつずつ袋に戻し始めた。
ひとつ減り、ふたつ減り、やがて手紙の重しになっている一山だけを残した頃になって、コンスタンスが再起動を果たす。
「ば、ば――」
「ば?」
オーフェンは手を止めて、コンスタンスの言葉を待った。幸い、さほど時間はかからず現実に復帰してくる。
「ば――馬鹿にしないで欲しいわねっ」
叫び声ひとつ。コンスタンスは何かを振り切る様に勢いよく椅子から立ち上がると、握り拳を掲げて宣言してくる。
「どんな苦境に立たされたところで、わたしは法の信徒! 悪徳に身をゆだねるなんてこと絶対にしないわ!」
「おおー」
啖呵を切って見せたコンスタンスに、オーフェンはおざなりな拍手を送った。そして最後の金貨の山に手を掛ける。
「じゃあな、頑張れよコギー。素人にゃ飲まず食わずは意外ときついと思うが、生きたいという気持ちが重要だぞ――」
刹那。がしり、と金貨を下げようとしたオーフェンの手を握り留めた者がいた。言わずもがなコンスタンスである。
どことなく熱病に冒された様な焦点の合っていない目つきで――なにかから目をそらすように――オーフェンを見つめてきた。
「ところでオーフェン、わたし達、友達よね?」
「そうだなぁ。そうとも言えるかもしれん」
「友情って素敵よね。困った時には助け合えるんだもの。
非合法のチンピラ金貸しと、美人の最エリート警官だけど、友情の前には些細な垣根だと思うの」
「餓死って一番苦しい死に方らしいな」
オーフェンがその手を無情に引きはがそうとすると、コンスタンスは今度こそなりふり構わず全力でしがみ付いてきた。
「あああああ! 何よちょっとしたお茶目なジョークじゃないのよ! おねーさんを立ててくれたっていいじゃない!」
「じゃあ、借りる、ってことでいいんだな?」
「……とりあえず、話し合いましょ? ほらほら、そんな怖い顔しないでってば」
促され、オーフェンは手から力を抜いた。それを察したコンスタンスも縋りつくのを止め、席に座りなおす。
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