6: ◆TDuorh6/aM[saga]
2017/04/15(土) 18:19:28.33 ID:PCATOFtoO
カタカタ、カタカタ、カタカタ
仕事に熱中してキーボードを打ち込んでいると、窓の外を大きな物体が飛んでいくのが見えた。
…鳥か?いや、デカ過ぎた。
一旦仕事を中断して窓を開けると…
遠くの方で、麗花が走っていた。
何故か物凄い跳躍力で道を駆け回っている。
アイドルって凄い。
そう言えば、前はそうやって宇宙まで走って行ったらしいな。
俺も休憩がてら、少し追いかけてみるか。
窓から飛び出し、麗花を追う。
麗花はそこまでスピードを出していないようで、追いつくのに時間はかからなかった。
そのまま少し後ろを走り続ける。
これが結構心地よい。
走って、跳んで、飛んで。
街を抜け、雲を抜け、成層圏を抜け。
気が付けば宇宙まで来てしまっていた。
これは帰るのにも時間が掛かりそうだ。
麗花はまだ俺に気づいていないのか、振り返る事なく走り続けている。
よくもまぁそんなに体力が持つものだ。
普段からダンスをやってるからだろうか。
それとも趣味がハイキングだからだろうか。
「あら、麗花じゃない。酸素足りてる?」
「あ、おはようございます、律子さん!」
「おはようって、今の日本はもうすぐ夕方よ…なんて、宇宙にそんな法則はないわね」
見れば、宇宙服を着た律子がいた。
うちの事務所の企画の一つは宇宙で行われているが、今日は律子が来ていたのか。
それにしても律子よ、生身で宇宙空間を走る麗花に対しての言葉がそれか。
酸素以前の問題だろう。
「レッスンはちゃんと終わってるの?」
「もちろんです!あ、地球って丸くて星みたいです!」
「当たり前じゃない…で、なんで走ってるのか聞いていい?」
「パンパカパーン!が溢れてるから!」
「分からないんだけど…」
パンパカパーンってなんだ。
麗花なりの喜びや楽しみの表現なんだろうか。
「…それにほら、こうやって色んな場所を走ってると思い出話が沢山増えますから!」
「…そう。それじゃ、私はまだ仕事があるから」
そのまま律子と分かれ、麗花は回れ右して地球へ向かい走り出した。
そろそろ日本は夜になる頃かな。
俺もさっさと戻って仕事の残りを終えないと。
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