過去ログ - 安斎都「ドレスが似合う女」
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33:名無しNIPPER[saga]
2017/04/20(木) 02:17:03.02 ID:0eIMi64y0
 もう一度高垣さんの部屋に入りたい。そんな欲望が頭をよぎり、私は躊躇うことなく再び部屋に侵入した。今度は、プロデューサーさんと一緒じゃない。
 部屋の様子は全く変わっていなかった。このままずっと、この部屋は高垣さんの部屋として、残り続けるのかもしれない。高垣さんの死の気配を、残したままで。
 そんな感傷に浸りながらも、私は迷わず机の引き出しに近づいた。以前、調べなかった場所だ。あの時は、本気で調査をするつもりはなかったし、まだ私にも良心が残っていたから。
 全部で3段。1段目をそっと開けた。裁縫セットと、大小様々なボタンが縫い付けられた布が入っている。ところどころ、赤い斑点が散っていて、必死な練習の後がうかがえる。
 2段目には、なんとあの香水が入っていた。日にちが経っているせいか、うっすら埃をかぶっている。中身は、半分以下になっている。
 瓶を持ち上げると、下にはもっとたくさんの埃が積もっていた。つまり、この瓶は比較的最近、引き出しにいれられたのだ。脳裏に、プロデューサーさんの顔がよぎった。
 3段目に手をかけた時、外から音がした。誰かが近づいている! 引き出しを開けようとしたが、鍵がかかっている。心臓が、痛いくらいに早まる。私は、扉と同じように安全ピンを突っ込んで、無理やりこじ開けようとした。しかし開かない。
 私はピッキングをあきらめ、引き出しの鍵を壊そうと、無理やり引っ張ってみた。すると、少し隙間が空いた。そこにライトを照らすと、高垣さんのプロデューサーの顔があった。
「うひゃあっ!!」
びっくりして後ろへ飛びのくと、何かにぶつかった。
「ここで、君はなにをしているんだい?」
 最悪なことに相手は、アイドル部門の部長だった。




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