1:名無しNIPPER[saga]
2017/04/17(月) 22:41:47.08 ID:J72/wDSE0
「はぁ・・・」 
 家に帰った私は部屋にカバンを置きながら、深いため息をつく。 
 「今日も、リリーと話できなかった…」 
 私の名前は津島善子、高校1年生。私は今、恋をしてます。でもその恋は絶対にしてはいけない禁断の恋だ。私が好きになってしまったのは、一個上の女の先輩。普通の恋をしてないことぐらい分かっている。しかし、私にはもう一つ、もっと大事な、恋をしてはいけない訳があるのだ。
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2:名無しNIPPER[saga]
2017/04/17(月) 22:43:51.70 ID:J72/wDSE0
 二重人格、と言うのが正しいのだろうか。発端は中学生のときだった。仲の良かった唯一の私の友達が私の誘いを断って他の子と遊んでいた姿を見たとき。私は、自分の心にどす黒い感情が湧き上がってくる感覚をいまだに覚えている。 
 (なんで・・・?どうして・・・?) 
 それから先はふらふらと家に帰り着いたことだけは覚えている。でもそこから先の記憶がなかった。自分が自分じゃない何かに変わっていく気がした。朝になると私の部屋の窓ガラスは粉々に割れていて、階下には砕けた写真立てが。その友達と一緒に写っている写真が入っていたものだ。ああ、そうか。これは私がやったことなんだな、ってすぐに納得する。割れたガラスと引き換えに私の心はとても晴れ晴れとしていたのだから。 
3:名無しNIPPER[saga]
2017/04/17(月) 22:44:32.65 ID:J72/wDSE0
 その後も私の中の「ソイツ」は時々目を覚ます。とは言っても、毎日のように私は豹変するわけではない。嫉妬、悲しみ、憎しみ、怒り。人間ならだれもが感じるような負の感情。それは豹変のトリガーとなり、「ソイツ」は私の理性を越えて外の世界に首をだしてくるのだ。そして、このことが起こるのは必ず夜遅くだという事に私は気づいた。そこで、私は夜の間だけ出現するもう一人の「私」に堕天使という意味合いを込めて「ヨハネ」と名付けることにした。 
 ヨハネはいつ現れるかはわからない。全ては私の心によって決まる。 
4:名無しNIPPER[saga]
2017/04/17(月) 22:45:00.66 ID:J72/wDSE0
 「リリーに会いたい…」 
 ダメ、ダメ、ダメ!私は首を振る。会いたい、という気持ちは会えない、辛いと変わっていき、いずれ私の心を支配し、体を衝き動かす。理性がちぎれた私が目覚めたら、私はリリーに、Aqoursのみんなに、何をしてしまうのかわからない。大事なAqoursの仲間にそんなことをするわけには行かない。だから私は今日も自分の気持ちを押し殺して、「善子」として生きていく。 
  
5:名無しNIPPER[saga]
2017/04/17(月) 22:45:45.79 ID:J72/wDSE0
  
  
 「はぁ…」 
 こちらは内浦。桜色の髪が綺麗な彼女もまた、風呂上がりの火照った身体をベッドに預け、ため息を漏らす。 
 「よっちゃん…誘いたいなぁ…」 
6:名無しNIPPER[saga]
2017/04/17(月) 22:46:17.00 ID:J72/wDSE0
 「おーい!梨子ちゃん!」 
 「なぁに?千歌ちゃん。」 
 「今日は誘えた?」 
 「うぅ…まだ……」 
 「えぇ〜まだなのぉ?」 
7:名無しNIPPER[saga]
2017/04/17(月) 22:46:50.03 ID:J72/wDSE0
 「明日は、ユニットに分かれての練習ってダイヤさんが言ってたから、そんときに誘わないとだめだよ!」 
 「うん。頑張ってみるね。」 
 「まずは一歩踏み出してみないと!頑張ってね、梨子ちゃん!」 
 そうだ、まだ断られたわけじゃないんだ。誘うこともできずに何をやっているんだ桜内梨子! 
 そう自分を奮い立たせる。明日は勇気を出して誘ってみよう。私は胸いっぱいに期待を込めて眠りについた。 
8:名無しNIPPER[saga]
2017/04/17(月) 22:47:34.93 ID:J72/wDSE0
 *** 
  
 うぅ…緊張する……なんで鞠莉さんいないのよ! 
 そんな叫びが口から漏れそうだ。久しぶりのユニット練習でまさかの鞠莉さんが欠席。必然的に私はリリーとふたりぼっち。いざ、二人になってみると、恥ずかしくて会話が続かない。リリーもさっきからチラチラとこっちを見て落ち着かない。 
 「「あのっ!」」 
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