過去ログ - 善子「二重人格でも恋がしたい」
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17:名無しNIPPER[saga]
2017/04/17(月) 22:54:04.39 ID:J72/wDSE0
「よっちゃんはずるいよ…///」
「?何か言った?リリー?」
小首を傾げるよっちゃんが可愛すぎて、私はまともに見ることができなかった。
「次はあれ行きましょ!」
一際わくわくした彼女が指差すのは、お化け屋敷。


18:名無しNIPPER[saga]
2017/04/17(月) 22:55:40.22 ID:J72/wDSE0
「きゃぁぁぁぁぁぁ!!??」
「もう無理!もう無理よぉ…」
涙目になりながら私は呟く。
「大丈夫よ、リリー!私が付いているから…ってひゃぁぁぁぁ!!」
暗闇の中、私たちはお互いを離さぬように固く手を握りしめながら先へと進む。


19:名無しNIPPER[saga]
2017/04/17(月) 22:56:18.95 ID:J72/wDSE0
「や、やっと出れた…」
ほっとした私はよっちゃんに抱き着いていることに気が付いた。
「ひゃぁぁ!ごめんなさい///」
慌ててパッと離れて、急いで謝る。私から離れられたよっちゃんは何だか寂しそうだ。
でも、かっこよかったな。よっちゃん。そう思いながら私は想い人の手を再びギュッと握る。


20:名無しNIPPER[saga]
2017/04/17(月) 22:57:04.08 ID:J72/wDSE0
楽しい時間はあっという間に過ぎるもので、辺りは段々と暗くなり始めた。
「帰ろっか、よっちゃん。」
「そうね、帰りましょうか。」
寂しいことを顔に出さないようにして私は言葉を返す。この分ならあまり遅くならずに、ヨハネが目覚める時間までには家に帰りつけそうだ、そう思ってた。


21:名無しNIPPER[saga]
2017/04/17(月) 22:58:09.83 ID:J72/wDSE0
「人身事故…?」
駅についたとき私は目を疑った。人身事故で電車が止まっている。それは、大幅に帰れる時間が遅くなることを意味していた。
「お母さんに遅くなる、って連絡を入れなきゃ…」
そんな彼女の声も全く聞こえなかった。私はただただ、時間が過ぎないことを祈っていた。彼女と別れたくない。しかし、早く別れなければ、私はリリーを傷つけてしまうかもしれない。私の焦りは募る一方だ。

以下略



22:名無しNIPPER[saga]
2017/04/17(月) 22:58:38.29 ID:J72/wDSE0
「すっかり遅くなっちゃったわね…」
沼津についたとき、時刻は10時を回った頃だった。
「今日は楽しかったわ、じゃあまたね。」
笑顔でバイバイ、と手を振る彼女。楽しいことがあった後の別れの辛さは大きい。
「別れたくない…行かないで…リリー…」
以下略



23:名無しNIPPER[saga]
2017/04/17(月) 22:59:08.42 ID:J72/wDSE0
リリーと別れたくない。ダメ。早く帰らなきゃ!寂しいよリリー。違う!また明日も会えるんだから!ここでさよなら!
ばいばい。その一言が出てこない。
寂しい、寂しい、リリー。


24:名無しNIPPER[saga]
2017/04/17(月) 22:59:34.75 ID:J72/wDSE0
(逃げて、リリー)
最後に願った言葉もむなしく、私は黒に塗り潰されていく。私の意識が深い闇の中に、堕ちていく。


25:名無しNIPPER[saga]
2017/04/17(月) 23:00:19.56 ID:J72/wDSE0
………誰だってビックリするわよ。さよならって言ったら帰らないで、なんて言われるのよ。自分の好きな人から。そんなの、足を止めちゃうに決まってるじゃない。
「よ…っちゃん?」
様子がおかしかった。いつも感情をはっきり表に出す彼女が抑揚のない声でぶつぶつと何かを呟く。
「どうしたの、大丈夫?具合悪いの?」
何を呼び掛けても彼女からまともな反応が返ってこない。訝しげによっちゃんを見ること数秒。突然、よっちゃんが顔をあげた。その顔は私が知ってる優しくてかっこよくて可愛いよっちゃんだった。


26:名無しNIPPER[saga]
2017/04/17(月) 23:01:00.06 ID:J72/wDSE0
「もぉ〜リリーったら。帰らないでよ〜」
何だ、普通じゃないか。いつもの通りのよっちゃんと同じような反応を見て一安心。でも、もう10時を過ぎているのだ。これ以上遅くなるわけにはいかない。意中の人からそんなことを言われるのはとてつもなく嬉しいが、今日はもう帰らないと。
「また明日会えるから、ね?よっちゃん。」
帰ろうと足を進める私の手をよっちゃんは握りしめた。


27:名無しNIPPER[saga]
2017/04/17(月) 23:01:27.13 ID:J72/wDSE0
「帰らないで、って言ってるの。」
「もう、よっちゃん。わがまま言っちゃダメよ?」
その瞬間、よっちゃんが私の手を握る強さがいきなり強くなった。
「痛っ!」
私は思わず顔をしかめ、よっちゃんの方を見る。私は戦慄した。初めてよっちゃんを怖いと思った。顔は間違いなくよっちゃんだ。でも、その瞳は深い闇を湛え、底なし沼のように私を逃がさないことを感じ取らせる。


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