過去ログ - ガヴリール「また会う時に、幸せを」
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1:か ◆aDRXZRX9R2
2017/04/20(木) 01:25:10.10 ID:Vm/jiIAUo
高校を卒業して、天界での修行を経て
あれから数年の月日がたった。
出会いと別れを繰り返し、私も少しは天使らしくなっただろうか。
こんな私にも愛する家族が出来た。
もうしばらく下界に降りていない。
親愛なる悪魔たちは元気にしているだろうか。
彼女らも私と同じように魔界で暮らしているはずだ。
今日は何かが起こる気がする。
今日は何かが起こってほしいと願ってしまう。
「ネトゲのイベントがあるんだ」
旦那にはそう告げ、希望を胸に下界へ降り立った。
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2:か ◆aDRXZRX9R2
2017/04/20(木) 01:25:39.25 ID:Vm/jiIAUo
◇
「なんにも変わってないな」
それが数年ぶりの下界の第一印象。
3:か ◆aDRXZRX9R2
2017/04/20(木) 01:26:16.34 ID:Vm/jiIAUo
学校。
流石に中に入るほどの用事は持ち合わせていなかった。
今は授業中か。
4:か ◆aDRXZRX9R2
2017/04/20(木) 01:27:43.62 ID:Vm/jiIAUo
喫茶店。
マスターは一人で経営しているのだろうか。
なんだかんだお世話になったので礼が言いたいが、理由もなく足を踏み入れるのは少し恥ずかしい。
5:か ◆aDRXZRX9R2
2017/04/20(木) 01:28:44.04 ID:Vm/jiIAUo
家。
私が下界にいたころ住んでいた家だ。
ここで、いろいろなことがあった。
6:か ◆aDRXZRX9R2
2017/04/20(木) 01:29:11.56 ID:Vm/jiIAUo
何も変わってはいないのに
全部変わってしまった。
きっともう下界に私の居場所はないのだ。
7:か ◆aDRXZRX9R2
2017/04/20(木) 01:29:40.15 ID:Vm/jiIAUo
◇
私とヴィーネは喫茶店で一服することにした。
マスターは私たちの再訪を喜んでくれたし、私も世話になった礼を言うことが出来た。
私も成長しているんだな。
8:か ◆aDRXZRX9R2
2017/04/20(木) 01:30:09.46 ID:Vm/jiIAUo
良かった。
ヴィーネも幸せそうだ。
それだけは確認して起きたかった。
おめでとう、おめでとうとお互いに言い合って
9:か ◆aDRXZRX9R2
2017/04/20(木) 01:30:36.24 ID:Vm/jiIAUo
◇
高2の冬。
今日は朝から雪が降っていた。
10:か ◆aDRXZRX9R2
2017/04/20(木) 01:31:22.73 ID:Vm/jiIAUo
「昨日から!?」
「今日はまだ時間あるからなにか朝ごはん作ろうと思うんだけど」
「ん」
「お願い」
11:か ◆aDRXZRX9R2
2017/04/20(木) 01:32:07.24 ID:Vm/jiIAUo
何かを煮込んでいる間にヴィーネは私の着替えを用意する。
場所を教えた覚えもないのにてきぱきと下着や制服を見繕う。
微動たりともしない私と裏腹に動き続けるヴィーネ。
申し訳ない気持ちは山々だが寒さには勝てないんだ。
12:か ◆aDRXZRX9R2
2017/04/20(木) 01:32:34.65 ID:Vm/jiIAUo
「いい匂いがする……」
「朝だから簡単なものだけどね」
ご飯、お味噌汁、目玉焼き、ふりかけ、漬物。
13:か ◆aDRXZRX9R2
2017/04/20(木) 01:33:06.85 ID:Vm/jiIAUo
お味噌汁を飲み終わり一息つく。
身体が温まってきた。
しっかり味わいたい気持ちはあったがこれ以上時間をかけると学校に遅刻するとヴィーネに怒られるので急いでかき込む。
14:か ◆aDRXZRX9R2
2017/04/20(木) 01:33:42.26 ID:Vm/jiIAUo
「うー、寒」
防寒をしても家から一歩出れば雪国だ。
足が止まる。
15:か ◆aDRXZRX9R2
2017/04/20(木) 01:34:14.19 ID:Vm/jiIAUo
「別にいいよ」
「ヴィーネだって寒いだろ」
「でも……」
16:か ◆aDRXZRX9R2
2017/04/20(木) 01:34:42.24 ID:Vm/jiIAUo
「……」
片方が温かくなるともう片方の寒さが際立つな。
そうだ。
17:か ◆aDRXZRX9R2
2017/04/20(木) 01:35:46.94 ID:Vm/jiIAUo
「あ、ちょっと」
「……でもいい考えね」
「そうだろう」
18:か ◆aDRXZRX9R2
2017/04/20(木) 01:37:50.33 ID:Vm/jiIAUo
◇
そうだ、私はヴィーネの事が好きだったんだ。
きっとヴィーネも気持ちは同じ。
19:か ◆aDRXZRX9R2
2017/04/20(木) 01:38:21.95 ID:Vm/jiIAUo
もう一度
もう一度だけ
今日だけでいい
高校生の頃みたいに無茶をしたい。
20:か ◆aDRXZRX9R2
2017/04/20(木) 01:39:06.69 ID:Vm/jiIAUo
「……」
「私も好きだった」
「それでさ」
「私たちで、駆け落ちしないか」
21:か ◆aDRXZRX9R2
2017/04/20(木) 01:40:24.25 ID:Vm/jiIAUo
お互いに羽を捨て、下界で人間として過ごすこと。
私はそんなとんでもない提案をしている。
ヴィーネだって冷静に考えればそんなことはしてはいけないと気づくはずだ。
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