過去ログ - 勇者「久しぶりだね」魔王娘「久しいな、勇者よ」
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名無しNIPPER
[saga]
2017/04/22(土) 11:27:36.17 ID:VgJa4/BD0
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小さくて優しい背中だった。
その時、勇者は意識を失っていたはずだ。しかし女の首に回された両腕には力がこもっていて、まるで子供みたいに全身を預けていた。
━━━━暖かい。
━━━━柔らかい。
━━━━お母さん。
背負われて、随分と長い距離を運ばれた気がする。
やがて重力の向きが変わって、背中から、また違う柔らかい何かに降ろされる。
毛布がかけられる。
魔王娘『まったく、大して身長もないくせにやたら重いなコイツは』
魔王娘『筋肉が重いのか? うむ……。ほそまっちょ、というやつかもしれん』
声が聞こえる。
ひどく疲れていた。
それでも泥の中の手を動かすみたいにゆっくりと、勇者は手を伸ばした。温もりから離れるのが嫌だったからだ。
━━━━行かないで。
魔王娘『む?』
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