過去ログ - 勇者「久しぶりだね」魔王娘「久しいな、勇者よ」
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名無しNIPPER
[saga]
2017/04/22(土) 11:29:16.38 ID:VgJa4/BD0
魔王娘『ああ、いかんいかん。遊んでる場合じゃないな』
魔王娘『本当はここまでする必要はないかもしれんが……』
一度は離したその五指を、魔王娘はもう一度、まるで恋人を相手するみたいな繋ぎ方をした。
魔王娘『まあ、いい。出し惜しみするものでもないしな』
?の笑みをそのままに、
祈るみたいにその手を唇に近づけて、
祈るみたいに目を瞑って、
詠唱。
魔王娘『━━━━神よ』
魔王娘『━━━━その手を』
コウ、と光が灯った。
小径方陣四聖混合型魔術式。
詠唱が長く魔法陣の大きいものがより高度な術式である━━━━、そんな考えは20年前までの人間界においてのみ信じられてきた俗説にすぎない。初級中級までならいざ知らず、上級以上の魔術式をまともに構成しようとすれば莫大な面積の術式を要してしまうからだ。
故に現代魔術の、━━いや、太古より『天界において使われてきた』魔術式の基本理念は詰まる所こうなる。
━━━━より小さく、より短く、極めて複雑に。
魔王娘『君に幸あれ ━━ Pure ━━』
最上級治癒魔術。
緑の紋様が波紋のように勇者の全身を広がって行く。
勇者の使う中級治癒魔術の、更に二ランク上。
人族では数人しか扱えるものはいないといわれる超高等魔術だった。
魔王娘『おやすみ勇者』
魔王娘『いい夢を』
?を優しく撫でる。勇者はもう一度、更なる深い眠りに落ちて行く。
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