過去ログ - 勇者「久しぶりだね」魔王娘「久しいな、勇者よ」
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7:名無しNIPPER
2017/04/22(土) 11:24:20.19 ID:VgJa4/BD0
勇者『はあっ、はあっ、はあっ』


しばらくの間、魔王の間には勇者の呼吸だけが続いていた。
魔王がドプリと血を吐き出す。


勇者『これで、終わったか……』

勇者『ついに、魔王を倒したのか……』


力が抜けた。
呟きを最後に、勇者もまた地面に倒れこんだ。もはや指の先すらも動かせそうになかった。

そして同時に、勇者の耳を、絶望の足音がくすぐる。

ゴゴゴゴゴゴゴゴ

城の崩落が始まろうとしていた。


勇者『く、そ……っ!』

勇者『僕は、こんなところで[ピーーー]ないんだ……っ!』


上体だけをなんとか起こして、勇者は必死の脱出を試みる。
ジリジリと、少しずつ、動く。命を削るような思いで満身創痍のカラダに鞭を打つ。
━━━━死にたくない。
そんな並外れた生への渇望が勇者を突き動かす。


しかし亀にも劣るその歩みは、津波のような速度で襲いくる絶望の足音に為す術もなく飲まれてしまう。


ゴゴゴゴッ!! ゴォォォオオオオオオオオ


決して小さくない石片がガツガツと降り注ぎ、勇者の腕に、脚に、背中に、容赦のない打撲の跡を残していく。

魔翌力強化さえ出来ていればなんてことのない石片も、魔翌力を全て使い切った勇者にとってはその一つ一つが魂の抜けるような痛撃となる。


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