過去ログ - 鷺沢文香は、茜色に染まる -SS速報VIP

過去ログ - 鷺沢文香は、茜色に染まる

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72: ◆7uGVQpzDpA[saga]
2017/04/23(日) 14:50:40.30 ID:WnTIuVfMo
文香「……」

それはよくある物語。

73: ◆7uGVQpzDpA[saga]
2017/04/23(日) 14:51:28.07 ID:WnTIuVfMo
26

人間は感情を曖昧にできる。

それは志希さんの言っていたように、無限の感情があるからに他ならないだろう。

74: ◆7uGVQpzDpA[saga]
2017/04/23(日) 14:51:59.52 ID:WnTIuVfMo
茜「文香ちゃん」

振り返る。

75: ◆7uGVQpzDpA[saga]
2017/04/23(日) 14:53:33.61 ID:WnTIuVfMo
27

私たちは、中庭にあったベンチに腰を下ろした。

時折、噴水の水が勢い良く打ち上がって、抗いようもなく重力に引かれて落ちていく。

76: ◆7uGVQpzDpA[saga]
2017/04/23(日) 14:54:23.13 ID:WnTIuVfMo
その先の言葉は、聞きたくなかった。

けれど。

77: ◆7uGVQpzDpA[saga]
2017/04/23(日) 14:56:04.14 ID:WnTIuVfMo
茜「だけど私は、……！」

茜さんは、ポケットから小瓶を取り出した。

それは見覚えのある小瓶で、いや、間違いなく私が握っている香水と同一のものだった。

78: ◆7uGVQpzDpA[saga]
2017/04/23(日) 14:57:52.07 ID:WnTIuVfMo
文香「や、やめて……」

私はそんなことは、望んでいない。

79: ◆7uGVQpzDpA[saga]
2017/04/23(日) 14:58:37.70 ID:WnTIuVfMo

水が、堕ちる。

何かが破裂したみたいな水音が、暗闇に響いた。

80: ◆7uGVQpzDpA[saga]
2017/04/23(日) 14:59:35.44 ID:WnTIuVfMo
茜「文香、ちゃん」

日野茜は、私の名前を呼んだ。

81: ◆7uGVQpzDpA[saga]
2017/04/23(日) 15:00:49.03 ID:WnTIuVfMo
28

２人きりで話がしたい。

そう言って、私はホテルのラウンジの隅で、志希さんと相対した。

82: ◆7uGVQpzDpA[saga]
2017/04/23(日) 15:01:25.93 ID:WnTIuVfMo

志希「"キミがあの香水を無理矢理にでも奪っていれば"――ねえ？」

全てを見透かすような真っ黒な瞳に、私は飲まれていく。

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