過去ログ - 中野有香の後輩の話。
1- 20
16:名無しNIPPER[saga]
2017/04/23(日) 22:39:19.07 ID:M/h/fDsR0

俺の追い突きは、中野有香の鼻先で止まっていた。

拳は止まっても、一緒に連れて行った風は止まらなくて、彼女の黒髪をふわりと揺らす。

「負けました。あたしもまだまだ、ですね」

今度は、彼女は笑わなかった。

どうしてだろう。

やっと、勝てたのに。

二度と勝てないと思っていた相手に、勝てたのに。

どうして、こんなにも胸が苦しいのか。

どうして、俺の両の目からは、涙が溢れているのか。

何もかも、わからなかった。

「ど、どうしましたか? もしかして、あたしの蹴りが当たっちゃいましたか?」

何も言わない道場長と、おろおろする中野有香。

ああ、なんでだろう。

どこで間違えた。

「…………こんなつもりじゃなかった」

震える声で、そう言って、俺は人生で初めて、練習をサボった。



<<前のレス[*]次のレス[#]>>
19Res/14.18 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice