過去ログ - 鷺沢文香「過去と回顧とこれからと」
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2: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2017/04/23(日) 23:40:03.53 ID:1t1+je8o0

長野県のとあるビジネスホテルの一室。

俺は酒の入ったグラスを、文香さんはソフトドリンクの入ったグラスを持って。俺たちはそれらを当て合って、グラスはカチリと音を鳴らした。

「誕生日おめでとう、文香さん。」

「…ありがとう…ございます。」

10月27日、文香さんの誕生日。奇しくもこの日は、俺と文香さんが出会ってからちょうど一年の日でもあった。

「色々あったよね、この一年。」

「ええ…本当にいろいろなことが。今日のことも、良い思い出になりました。」

今日は文香さんの誕生日に合わせた、地元長野でのライブがあった。結果は大盛況。文香さんもいきいきしていた。最高のライブと言って差し支えないだろう。

…まぁ、そのせいで、文香さんの誕生日を祝える人間が、この俺しか居ないんだけど。ホテルの一室でする二人だけの誕生日会は、どこか寂しく感じた。

「…もっと大勢で祝いたかったな。」

二十歳の誕生日というこの日は二度と来ない。だから文香さんには、少しでも楽しい思い出を残してもらいたかった。こんな野郎一人だけって言うのはイヤだろう。

「…え、えぇ、そうですね…。」

明日と明後日はオフ。文香さんに「地元でゆっくりしてもらおう」という、ちひろさんのはからいだ。だから東京に戻るのは2日後。これじゃあ何日も遅れた誕生日会になっちゃいそうだな。

でも、まったく祝わないよりも、プレゼントなり話なりした方がいいだろう。だから、俺の部屋でライブの打ち上げと誕生会を兼ねた、ちいさなパーティをすることになった。

本当は、地元の店でするつもりだった。でも、文香さんは有名になりすぎた。店に入るやいなや、「サインをください!」、「歌ってください!」と酔っ払いとファンの集団に絡まれた。

避難した結果が、このホテルの一室。アイドルが男と二人っきりというのマズいだろう。しかし、やましいことが全くなければ問題もないだろう。

そもそも、俺と文香さんがそんなことになるわけないし。




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