過去ログ - 鷺沢文香「過去と回顧とこれからと」
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49: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2017/04/27(木) 22:32:15.95 ID:RH/8wXHw0

・・・

ある日、事務所での昼休憩。俺とちひろさんは休憩室で自販機のコーヒーを飲み、食後の時間を潰していた。

「最近の文香ちゃんの活躍はすごいですね!プロデューサーさんの頑張りのおかげですよ!」

先にコーヒーを飲み終えたちひろさんが、最近の文香さんの活躍を褒めてくれた。

「俺はたいしたことないですよ、文香さんがすごいだけなんです。」

謙遜じゃない。近くで文香さんを見てきたからよく分かる。

そうだ、すごいのは文香さんだ。今の実力にあぐらをかくことなく、更に上へ更に上へ。トレーナーさんからは「初期とは別人のようだ、しかも本人がそれに満足してないのが恐ろしい」と言われたこともある。

「…。」

あのときの、レッスン場で一人踊り続けていた文香さんを思い出す。かっこよかったあの姿。苦しそうだったあの姿。

「…ちひろさん、俺、時々思うことがあるんです。」

「?、どうしたんですか?急に神妙な顔と声で」

あのとき。あの男を殴ってしまったとき。俺が言った言葉が、『人生を賭させてやっている』という言葉が、文香さんが頑張るたびに俺の心臓を縛り付ける。

「俺は、文香さんをスカウトして良かったんでしょうか。」

「…………は?」

ちひろさんが素っ頓狂な声を上げる。その目は、今にでも「何を言ってるんですか。」とでも言いたげだ。

「何を言っているんですか。」

言われた。




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