過去ログ - 鷺沢文香「過去と回顧とこれからと」
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5: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2017/04/23(日) 23:44:15.58 ID:1t1+je8o0
しかし、最初の結果は失敗だった。だが、断られたワケではない。
「…」
そもそも、俺の方を彼女は一切見ようとしなかったのだ。
「あ、あのー…」
彼女は、俺の言葉など何処吹く風、ただ文字を追う目線とページをめくるための手だけを動かし続けた。
長丁場になることを恐れた俺は、とりあえずコーヒーを注文し、席に着いた。コーヒーを飲みながらチラチラと一人の女性を見続けた。巡り合わせとか悪かったら、捕まってたと思う。
コーヒーの他にサンドイッチも追加注文してから30分たった後。ようやく彼女は本を読み終えた。
「…ふぅ……。」
今だ。本を読み終わったタイミングを見計らい、彼女に声をかける。滅茶苦茶怪しまれたし、彼女はどことなくおびえていた。
多分あのとき、人生で一番ヤバい顔をしていたと思う。実際文香さんに「あのときはとても恐ろしかった」って言われたし。
「…私を、アイドルに……ですか?」
彼女の警戒心をとくため、そしてスカウトのため、自分の身の上や仕事内容を、自分の語彙力をフル活用して彼女に精一杯の説明をした。
「…話が、よく………すみません、今日はこのあたりで、失礼します……。」
結果は、失敗。ちゃんと話を聞いてもらった上で、ちゃんと断られた。
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