過去ログ - 鷺沢文香「過去と回顧とこれからと」
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50: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2017/04/27(木) 22:35:11.25 ID:RH/8wXHw0
俺は、俺が出会うまでの文香さんを知らない。今の文香さんは、アイドルだ。でも、過去の文香さんは違う。
「俺は、文香さんの将来を、ぶち壊して、この道に引きずり込みました。」
文香さんも夢を持っていたのかもしれない。目標もあったのかもしれない。でも俺は、それをぶち壊した。不可能にしてしまった。
「文香さんが、頑張ってる姿を見るたびに思ってるんです。」
アイドルとして、上に行くためにしている文香さんの頑張りを、本来持っていた将来の夢に向ければ、どうなっていたのだろう。向上心の塊のような文香さんなら、困難な夢でも叶えられたのではないのだろうか。
「それに、枕を持ちかけられたときも…本来なら、俺がスカウトしなかったら、そんなこととは微塵も関係のない人生を、文香さんは送っていた筈なんです。」
あの夢は、ふとしたときにフラッシュバックする。何度も何度も、虚ろな目をした文香さんが脳内を埋め尽くす。
人生そのものをねじ曲げた上で、更にずたずたに踏み潰すような。そんなことになる可能性だってあった。実際枕はなかったから良いものを、もし実現していたらと思うと、ぞっとする。
「取り返しのつかないことを…いや、もう実際、取り返せないことを俺はしているんです。」
先の話だが、アイドルを引退した後も、文香さんの人生は続いていく。そのとき、アイドルだった文香さんの生活はどうなるのだろうか。アイドルだったと言う過去は消せない。周りの人間から、一生、いや、それ以降も注目されながら生きていかなければならなくなる。
日常生活を送る上で、それは大きな、あまりにも大きな枷となる。
「恨まれても仕方ないような…。」
「何を言ってるんですか。」
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