過去ログ - 鷺沢文香「過去と回顧とこれからと」
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73: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2017/04/30(日) 01:04:25.64 ID:JYUonGPx0
「ひぐっ…ひぐっ…。」
全てを語り終えた文香さんは、鼻をすすり、涙をぬぐう。
「…。」
馬鹿だ、俺は。勝手に不安がって、心配して、そのせいで今文香さんに涙を流させている。
本音で語ることを恐れて、文香さんから直接聞いたわけでもないのに、嫌われているんじゃないかって、自分勝手に怖がって。文香さんの事を、知ろうとしなかった。
あの悪夢の、あの虚ろな目をしていたのは、自分自身だ。嫌われたくなくて、今の関係を壊したくなくて、距離を置いてそっぽを向いて。目を背け続けた。
「…っ!」
大きく息を吸い、二度、自分の頬を挟むようにして叩く。
「…ごめん、文香さん。俺、文香さんの事、知らなかった。」
これは、情けなくて、愚かで、臆病で、馬鹿な俺が招いてしまった事態だ。でもまだ、間に合うのなら。
「…一緒に、話をしよう。」
今からでも、遅くないなら。本当のことを、知りたい。本当の俺を、知ってもらいたい。
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