過去ログ - きらり「諸星をやめる日」
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11:名無しNIPPER[saga]
2017/04/25(火) 23:19:13.53 ID:diQk9yXt0
「どうして……? どうして今、そんなこと言うの……?」

「どうしてって……だって、ほら、本当は両想いだったんだって……僕だって、本当は言いたかったけど……」

「きらり……明日結婚するんだよ? もう別の人のものなんだよ? そんな『ほんと』聞いたって……もう遅いのに……」

「……そっか。ごめん、こんな話聞いても嬉しくなかったね」

「違う! 嬉しいよ……嬉しいに決まってるよ。今だって、Pちゃんのことは大好きだもん。でも……あの人のことだって好きなの。ねぇPちゃん……きらりに……一体どうしてほしいの……?」

 何も答えられなかった。どうしてほしいか、なんて。あの頃自分も好きだったんだ、なんて聞かされて、それで何をどうしてほしかったのか。

 それならあの時言ってくれればよかったじゃないかと思われるのがオチなのに。

 それでも彼女は当時アイドルだった。だから言えなかった――違う。彼女は、今でもアイドルだ。引退するのは明日。

 だからやっぱり、「どうして今」で。それに対する答えは――自分の中の、罪悪感を拭いたかったからに過ぎないのだろう。

 うなだれる彼女に、僕は何をしてやることもできない。どんな立場で声を掛けられるというのだ。

 だからただただ目を伏せて、彼女が痛みをこらえられるようになるのを待つことしかできなかった。

 それは奇しくも、彼女を振ったあの時と重なって見えるようだった。


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