8:名無しNIPPER[saga]
2017/04/25(火) 23:17:42.88 ID:diQk9yXt0
諸星きらりは、明日結婚する。
それに伴い、芸能界からも引退する。今日は僕が彼女のプロデューサーでいられる最後の日だった。だから彼女が話したいと言ってくれた時は、内心とても嬉しかった。
だけど同時に、結婚前夜という大事な日に彼女の時間を占有してしまうことの引け目も持っていた。
相手は別事務所の俳優だという話だった。名前はあまり売れてはいないようだったが、一度実際に会った時の柔らかな物腰はとても穏やかな印象を与えた。
悪い奴ではない、というのが実感だった。きらりが好きになるのも分かる気がした。しかしだからこそ、対抗心みたいなものが自然に生まれてしまうのだ。
「あの人はそんなことしないよぉ。だから前日なのに、事務所に挨拶したいってわがままも聞いてもらえたでしょ?」
「……信頼し合ってるんだね。きらりも、その相手の人も。おしどり夫婦だ」
「うぇへへ……ちょっと恥ずかしいにぃ。でもでも、ずぅーっと仲良しでいようねって、約束したから」
はにかむ彼女はとても幸せそうに見えた。思わずこちらまで頬がほころんでしまうくらいに。そんな笑みを見せられては、嫉妬する気すら起きなくなる。
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