過去ログ - 速水奏「全部、貴方のせいにしちゃいましょう。」
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6:znAUHOH90 5[sage]
2017/04/26(水) 01:16:41.70 ID:kIea3Dc10

奏の唇が、目の前にくる。熱い吐息が目にかかったのも束の間。
真っ暗に閉じた視界に、ぬるりとした柔らかく、温かい舌の感触。

「ーーーーっ!!?」

ビクン、とケツの付け根あたりから電流が脊髄を立ち上ぼり、声が危うく喉仏の辺りまで出かかった。
かわりに『んぅ……』という、奏の声。それが粘膜越しに頭蓋骨にダイレクトに伝わり、脳を麻痺させる。
劇薬のような刺激。

「……ん……はい、とれたわ。」

スローモーションのようにゆっくり、奏が離れていく。
赤い舌の先に、長めの睫毛が1本ちろりと乗っかっていた。
それを見せつけるように、口の中へ仕舞う。
そして唇を結んだまま、唾液と混ぜ合わせるように、ちゅく、と動かすと、白い喉が生き物のように波打った。

「……ふふっ……」

俺の体の一部を当たり前のように嚥下した奏を、俺はたぶん、目を見開いて口をパクパクさせて呆然と見てたに違いない。

「……だーめ……♪」

信じられないくらい蠱惑的な表情、濡れた声で、耳許で囁いてくる。
その響きだけで、心臓が早鐘のように打つ。

「粘膜同士、だからかな……ふふ、変な気分に、なっちゃったの。」

ひんやりした美しい掌が、俺の頬を包む。
強くはなく、しかし、決して逃れられないだろう拘束。

「実は、とっても恥ずしかったのだけど……でも、貴方もそうでしょ? 貴方が、教えたのよ? このキモチ……責任、取れるよね?」

俺の唇を親指がいとおしげに何度も撫で、やがて少しずつ、咥内に侵入する。
17歳の少女が、してもいい表情ではなかった。
速水奏というひときわ一流の"魅せる"才をもつアイドルが、この瞬間だけ、男を惑わせるということ一点にのみその才能を注ぐ。
普段の立ち振舞いからして年不相応な色香を醸す彼女だが、このときは次元が違う。
なにかがトリップしたような。
どこか虚げで、現実感を奪うような。
完全に、俺一人を標的とした魔性。

「逃げちゃ、ダメ……♪」

このとき、俺は完全に、この美しい蛇に魅入られた蛙だった。

「こうなっちゃったら……良いよね? 一緒に変に、なっちゃいましょう?」

ぽかりと空いたままの唇の、ほんの紙一枚隔てるくらいの距離で、囁かれた。彼女の甘い吐息が、ほとんど咥内で、俺の息と混じる。
背徳の情動のまま、食べられるがままだった瞬間。
ドアの極めて無機質なコンコン、という音が、倒錯の空間に風穴を空けた。



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