過去ログ - 【モバマスSS】モバ夫「特別養護老人ホームに勤める事になった……」
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13: ◆Q/Ox.g8wNA[sage saga]
2017/04/26(水) 12:01:17.65 ID:k4t87EhqO

【数時間後】



モバ夫「ふう……何だ…この施設…無茶苦茶じゃねぇか……」ズーン

菜美「あはは…、お疲れ様です…」

モバ夫「お疲れ様じゃないですよ……何なんですか、ココは…。
棺桶に片足突っ込んだみたいな顔色のお婆ちゃんがひたすら怪談話してくるし、その間何か変なラップ音してるし!」

菜美「小梅おばあちゃん、健康診断では何処も悪い所見当たらない健康体なんですけどねぇ…、あ、ラップ音は何時もの事です」

モバ夫「ボケてひたすらパン食べてるお婆ちゃんを職員さんに頼まれたから一緒に止めようとしたら、腕に食いつかれるし、
    断っても断ってもドーナッツ進めて来る地方の妖怪みたいなお婆ちゃんに付きまとわれるし、
    何か行く先行く先でトラップしかけて来る意地悪ばあさんみたいな人いるし!!もう勘弁して下さいよっ!!」


菜美「まぁまぁ……、じゃあせめて次は静かな所で休憩しましょうか?」

モバ夫「お願いしますよ……」



モバ夫(そういうと菜美さんは俺をある一室へと案内してくれた)

モバ夫(其処は中位の広さの部屋で部屋に所狭しと並べられた本棚に、高そうなハードカバーの本や雑誌等が並べられた、
    図書館とも言える場所だった)

菜美「一応、読書室…と言う事になっています。防音なので静かに過ごしたい人とかが主に来る場所ですね。
   …大抵は…、ああ居た居た。文香ちゃん、お邪魔しますねー??」

モバ夫(菜美さんが手を振った先には、日当りのいい片隅にロッキングチェアーに深々と座り、品の良いストールを膝に掛けながら、
    一人の老婆が読書をしていた)

モバ夫(老婆は視線を一瞬だけチラリとこちらに向けると、興味なさげに再び視線を本へと戻すのだった。それを見て菜美さんは、)

菜美「文香お婆ちゃんは少し精神を病んでまして…、こうやって此処で本を読んでいる以外はほとんど反応を見せてくれないんですよね…
   実際は本を読んでいるのか、本を読んでいる行動をしているのか、すら私達には分からないんですけど……」

モバ夫(寂しそうに文香お婆ちゃんを見詰める菜美さん。すると文香お婆ちゃんは再度俺達の方をじっと見つめると、
    やにわに立ち上がり、近くにあった本棚に置いてあった赤い大きめの本を手に取り、俺の方に歩み寄り、手渡してきた)

モバ夫(そして、手渡し終わると、全ては何事もなかったかのように感情の籠らない瞳で再び椅子へと腰かけ、読みかけの本に
    再度目を落とし始めたのだった…)

モバ夫(何やら意味が分からず、手渡された赤い本と呆然と立つ菜美さんの顔を交互に見比べていると、菜美さんが、)

菜美「おどろいた…。文香おばあちゃんが自発的に行動するなんて、この施設に入って初めてじゃないですかね…??
   びっくりしたぁ……」

菜美「その本、一体何なんですかね……? 中身見てみましょうか…、アルバム??」


モバ夫(菜美さんと一緒に開いた赤い本は、写真が何枚も飾られたアルバムだった)

モバ夫(其処には何故か俺が撮られた記憶の無い写真の中で、何処か見覚えのある顔の少女達と笑顔で映っていた)

モバ夫(思うにこの写真の中の俺が祖父で、少女たちはこの施設のお婆さん達なのだろう)

モバ夫(仕事中の真剣な表情―― オフの時の心を許した緩やかな表情―― 
    どれも誰も今までの人生で見た事も無いくらい魅力的な顔をしていた)


モバ夫(アイドル達は当然ながら―― 祖父の顔さえも――)


モバ夫(しかし、よく見てみると祖父と俺は本当に瓜二つと言える。 
    こうしてみても自分でさえこんな写真を何処で取ったかと錯覚するほどだ)

モバ夫(しかし、決定的に違う所が一つだけある。 この充実している顔、生き生きとした表情――)

モバ夫(俺は今までの人生の中で、こんな表情をして来た事があっただろうか??)

モバ夫(そう思うと俺は、この写真の中の人物に強烈な嫉妬を覚えたのだった――)


モバ夫(そして俺は――)






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