過去ログ - 小日向美穂「瞳を閉じないで、歩みを止めないで」
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13: ◆XUWJiU1Fxs[sage]
2017/04/27(木) 22:52:10.98 ID:XPJyqG6Wo
「わ、私が……CDデビュー……」

 いつかは、と思っていましたがこんなに早く来るなんて想像していませんでした。驚く私をよそにプロデューサーさんは続けます。

「ある作曲家さんの目にとまったみたいでな。自分が作った曲をこの子に歌ってほしいってリクエストがあったんだ」

 私は名指しで指名された、その事実が更に驚かせます。

「意外だったかい?」

「え、ええ、私よりももっと、素敵な子もいるのに……。私なんてまだまだだし、恥ずかしがり屋でこれといって取り柄もないのに……」

 それなのに、どうして私が選ばれたんだろう?

「私よりも、って言葉は使って欲しくないな」

「えっ?」

 さっきまで笑顔だったプロデューサーさんの顔色が途端に険しくなる。今までで見たことがない程、厳しくそれでいて悲しそうな表情でした。

「アイドルとして輝く以上、そのセリフだけは言っちゃダメなんだ。私よりも、とか私なんかが……とか。言霊、ってわけじゃないけど自分に自信をなくして歩みを止めてしまうのは御法度だよ」

「プロデューサーさん……」

「今はまだ、美穂はアイドルとして名前は知られていない。でもいつかは、君が誰かの憧れになる日が来るんだ。きっとその日が来るのは、そう遠いことじゃない」

 私がステージに立つアイドルに憧れたように、私が誰かの夢になる時が来たのならば。私なんて、って言葉は……ダメだよね。

「不安になる気持ちもわかるけど、いつも言っているじゃない。熊本の女は強いんだって。だから、それを信じてみなよ」

「はいっ!」

 アイドルになって私は変われたと思っていたけど、どうやらまだまだだったみたい。胸を張って歌えるように、頑張らないと……。



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