過去ログ - 小日向美穂「瞳を閉じないで、歩みを止めないで」
1- 20
3: ◆XUWJiU1Fxs[sage]
2017/04/27(木) 22:37:33.93 ID:XPJyqG6Wo
 ダメで元々のつもりでいましたが、運良く養成所に合格出来た私は親や友達と別れて東京へと行くことになりました。学校の屋上からも見えない遠く遠く離れた場所にたった一人。お洒落な都会の中でお上りさんを炸裂してしまわないか、うまくやっていけるだろうかという不安が私に重くのしかかります。

「私は熊本の女だ……誰がなんと言おうと熊本の女なんです……」

「いや、美穂ちゃん。それは事実だからね」

 自己暗示のように熊本の女は強いと唱えても、やっぱり怖いものは怖いんです。もう二度と会えなくなるなんてことはないのだけど、今までそこにいて当たり前だと思っていた皆がいない世界というのが私には想像ができませんでした。

「東京じゃなくても、福岡にもあるんじゃないのかな? そういう、養成所的なのって。それなら熊本からでも……まぁ、2時間くらいかかるかもだけど」

「それは……思い切ってみた、のかな?」

「ふふっ、なにそれ。面白いね」

 友達の言うことはごもっともだ。そんな思いをするのが分かっていたのに、なんで東京に行こうとしたんだと言われてしまえば何も言い返せないわけでして。

「でも美穂ちゃんらしいかな。恥ずかしがり屋だけど結構大胆なことしちゃうしね」

「えへへ……」

 一方で、まだ知らない未来に期待している自分がいるのも紛れもない事実。不安と期待がシーソーみたいに揺れ動いて、どちらも日に日に大きくなっていきます。出発日にはもう何がなんだか分からない状態で、ここまで来ると却って冷静になれた自分がいました。



<<前のレス[*]次のレス[#]>>
20Res/21.5 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice