過去ログ - 白菊ほたるが幸せになることを許せなかったファンの話。
1- 20
7:名無しNIPPER[saga]
2017/05/05(金) 09:16:51.11 ID:JsiGlSge0

 しかし、そんなファンばかりだったわけではありません。過激なファンもいました。僕がどちらだったかは……その時点では、僕は祝福する側の人間でした。こういう時に祝福することが良いファンなのだと思っていたのです。実際、祝福するべきなのでしょう。自分が応援していたアイドルです。幸せになってほしいと願っていたアイドルです。そんな彼女の幸せをよろこばないなんて、それはもうファン失格ではないか。

 ……そう思っていました。そう思うべきだと思っていました。でも、それでも、僕はショックを受けていました。数日間、何も手につかなくて、食事も砂を食べているようにしか感じられませんでした。会社は休み、最低限の生命活動だけをしていました。テレビをつけると彼女の話題でもちきりでした。テレビを消しました。僕の部屋は彼女のポスターやCD、DVD、雑誌、写真集……そんなものでいっぱいでした。それを見ているだけで、胸が強く締め付けられて……でも、捨ててはいけない、と思いました。捨てたくない、と思いました。

 いつの間にか、僕にとって、白菊ほたるというアイドルは人生の一部になっていました。人生の大きな一部を占める存在になっていました。日々は彼女を応援するためにあって、生活を彼女に捧げていました。それを数年も続けて……今更、変えることなんてできませんでした。

 結婚しても彼女はアイドルを続けていました。ファンに謝罪しながらも、それでもまだ続けたいと言う彼女はいつも通りの彼女で、僕の好きな、僕がファンになった彼女の姿でした。



<<前のレス[*]次のレス[#]>>
17Res/13.16 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice