過去ログ - 掃除機、さくらんぼ、カスピ海
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14:名無しNIPPER
2017/05/07(日) 20:40:53.67 ID:GzMxKLQs0
「わっ」

 急いで拾う。あれだけ貴重だと言われたのに。

 傷がないか見回してみると、ある変化に気付いた。

 傷が有った訳ではない、折れた訳でもない。

 動いたのだ。一手だけ。

「うっ、動いた」

 あんなに動かなかったのに。力の掛け方か?どこだ?どこがどう動いたんだ?

「考えてもわかんないと思いますよきっと」

「うわっ」

 いつのまにか掃除機が復活していた。ばっちりコンセントにコードが刺さっている。

「・・・結局。なんなんだ。あんたは」

「さぁ。誰がどれだけ考えても答えは出ないと思います。けれど、それでいいじゃないですか。

元々、人間は答えのない問を、何個も何個も背負って生まれてくるものです」

「掃除機が何を言う」

「そうして、答えが出せなくても、それを投げ出さなければ、あとで神様が答え合わせしてくれますよ。きっと」

「・・・あの世って、あるの?」

「これ以上はない。そう考えて初めてスタートなんですよ。人間というのは」 

「・・・向こうでの会話を知っている。やはりあんたは私の妄想だ」

 一手だけ動いた、cherryをそっと握る。

 今は、これでいい。

 投げ出さなければ、いつか。



 −終−


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