4:名無しNIPPER
2017/05/07(日) 20:34:29.54 ID:GzMxKLQs0
「・・・そんな日々を続けていたら、パズル学者。ということになっていました」
「・・・ということになっていました。って、曖昧だなぁ。そこはあまり話したくないのかい」
「いえ、本当に、よくわからないのです。気付いていたら、なっていました」
家賃の高そうなマンションの一室に呼ばれ、男に私がこうなった理由を聞かれたので、話した。
お話が私の仕事ではないのだが、彼は依頼人だし、別に邪険にする理由もなかった。
「一人暮らしと言っていたね。お金はどうしているんだい」
「さぁ・・・あなたのような人が、何故かお金をくれます」
「・・・自分の生活について、恐ろしく無頓着だな。君は。詐欺などには気をつけたまえ」
「知らない人には付いていきません」
幼い頃、周りの人が何度も教えてくれた文言を繰り返す。
あれだけ何度も言っていたのだから、きっとこれさえ守っていれば大丈夫のはずだ。
「・・・まぁ、万が一破産したら、うちに来たまえ。一生遊んで暮らせる程の報酬が出る仕事を、何件も紹介してやろう」
そういって男は、トランクケースを机の上に置いた。
「例えば、それらの一つがこれだ」
トランクケースが男の手によって開かれる。
中には、さくらんぼを模した、幾何学的に絡み合った細い鉄があった。
知恵の輪。
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