過去ログ - モバP「眼鏡という単語が出たら突如終了するSS」
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4: ◆zOmEgane2k[sage saga]
2017/05/10(水) 01:50:57.39 ID:y2czvAxeo
「元芸能人がファッションブランドをやるといっても、名前を出してプロデュースするだけの場合が多い。自分でデザインするとなると相当な勉強が必要になる。現実的じゃない」

「そう……ですよね」

「逆に自分のブランドに拘らなければ、セレクトショップという手もある。こっちなら今すぐにでもそれなりに形になる。話題性も十分だし、芸能活動の一環として事務所もバックアップしてくれるかもしれない。一度このルートが確立してしまえば、例えば、フレデリカあたりに応用も効く」

「そんなにうまくいくものでしょうか」

「うまくいかせるんだよ……いや、うまくいくと一部の人間を錯覚させるだけでいい。僕が企画書の添削くらいはやってあげよう」

「え、全部書いてくれてもいいんですよ?」

「君が書いた方が良い出来になるはずだ。君の専門領域にはちょっとついていけない。次の仕事だって、もう僕のカンペなんて役に立たないからね」

彼はハンドルから一瞬両手を離して、お手上げ、のジェスチャをしてみせた。
あぶないですよ?

「ただね、ブランドというのはデザインだけに掛かるもんじゃなくて……例えば価格と品質の折り合いをどこでつけるか。どういう人に向けてものを作っていくのか。思想、哲学が必要なんだ。そこを大事にするなら、既製品では難しいかもしれない」

「はい……はい。私は、やっぱりみんなに使ってもらうなら、お高いものでは駄目だと思うんです。今でこそ価格では安いショップも出てきていますが、まだまだできることはあるはずなんですよ」

「うん。そういう場合、君が自分のブランドを持つのは、遠回りのようで最短距離かもしれないね」

話を合わせながら、私は驚いていた。
昔ブランドショップの話をしたことはあっても、それは彼が毎日言っている冗談と同じくらいの意味だ。
言葉の軽さとしては、純チタン製のフレームよりも軽い。


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