5:名無しNIPPER[saga]
2017/05/13(土) 07:45:37.33 ID:tNZEexy20
「もしもし」
「あ!やっと出た!おはよう☆朝からはぁとの声聞けるなんて幸せだぞ☆」
「おやすみなさい」
「おーい寝るなー?」
「はいはい。それで何ですかはぁとさん」
6:名無しNIPPER[saga]
2017/05/13(土) 07:46:50.73 ID:tNZEexy20
「何というか、服装だけじゃなかったんですね」」
「何が?」
「メルヘン趣味」
「女の子はみんな、こういうの好きだぞ」
「女の子……?」
7:名無しNIPPER[saga]
2017/05/13(土) 07:47:52.07 ID:tNZEexy20
「そこは謝んなー☆適当に聞き流せー☆……冗談はさておき」
「何ですか?」
「はぁと、プロデューサーとこの映画見たかったから、プロデューサーを誘ったの。ねぇプロデューサー今日空いてる?」
いつもの口調よりも幾分か優しい、甘えるような声ではぁとさんが言った。
8:名無しNIPPER[saga]
2017/05/13(土) 07:51:03.99 ID:tNZEexy20
約束の時間の5分前に広場に着くと、はぁとさんはすでに僕のことを待っていた。
バスを降りたとき、やたら人の目を引く女性がいるなと思ったら、案の定、はぁとさんだった。
僕はアイドル事務所に勤めていて、たくさんの美人さんを見てきたが、
桃色のカットソーにオレンジのフレアスカートが似合う人ははぁとさん以外見たことがない。
9:名無しNIPPER[saga]
2017/05/13(土) 07:52:13.10 ID:tNZEexy20
「いやーん♪乱暴はやめてぇ♪」
「抱き着いてきたのははぁとさんじゃないですか。それに僕は遅れてないです。はぁとさんが早すぎるんですよ。ほら」
時計を見せ、僕は時間を守る律儀な男だと抗議すると、はぁとさんは嬉しそうに
10:名無しNIPPER[saga]
2017/05/13(土) 07:54:05.06 ID:tNZEexy20
「それで?」
「うん?」
「映画、行くんですよね?」
「そうだった。っておい☆早く席取りにいかないと良い席なくなっちゃう♪いやーんそれはだめぇ♪」
11:名無しNIPPER[saga]
2017/05/13(土) 07:56:11.00 ID:tNZEexy20
上映開始時間の30分ほど前に映画館にたどり着き、
スクリーンからほど良く離れた席を予約してから今日は平日だったと思い出した。
そういえばGWも終わっている。どうりで人通りが少ないわけだ。
これなら映画館まで急ぐ必要はなかったじゃないか。
12:名無しNIPPER[saga]
2017/05/13(土) 07:57:51.07 ID:tNZEexy20
結局、オレンジジュースにウーロン茶。シナモンのチュロス一本に小さいサイズのポップコーンを買った。席に着くと、
「はぁと食べ過ぎちゃうかもだから、プロデューサーが持ってて」
とポップコーンを渡された。
13:名無しNIPPER[saga]
2017/05/13(土) 07:59:59.31 ID:tNZEexy20
照明が落ち、カメラ男の説明が終わり、
いよいよ本編が始まるというときに僕は映画の音とは異なる音の存在に気がついた。
かりっ、さくっ、さくっ。
14:名無しNIPPER[saga]
2017/05/13(土) 08:01:17.70 ID:tNZEexy20
かりっ、さくっ、さくっ。
チュロスを食べる音が聞こえているのだから、僕の呼吸をする音もはぁとさんに聞こえているのでは?
僕は上手く息が出来なくなった。
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