過去ログ - 【けものフレンズ】アライさん物語
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4:名無しNIPPER
2017/05/13(土) 23:36:33.45 ID:Dm/oP8pSO
「zzz…」
アライさんは眠っている
きっと疲れているんだろう
よく見ると体にはいくつも傷があるし、頬もこけている
僕が拾うまでの暮らしは、きっと楽なものではなかったんだろう
以下略



5:名無しNIPPER
2017/05/13(土) 23:37:11.98 ID:Dm/oP8pSO
それからの日々は、楽しかった
「ふはははは、アライさんは三輪車の操縦が上手なのだ」
親に見つかったら大変なことになりそうだから、部屋からはあまり出してはあげられなかったけど
「ううっ、わたあめを洗ったら消えてしまったのだ」
生き物を飼う、それは新しい発見の連続だった
以下略



6:名無しNIPPER
2017/05/13(土) 23:38:37.13 ID:Dm/oP8pSO
その日、僕はお使いで隣の町まで買い物に行っていた
「退屈なのだ、アライさんも連れて行くのだ」
アライさんはそう言っていたけど、他人にアライさんを目撃させる訳にはいかない
みんなアライさんを害獣だと思ってる
そんなことないって言ってもきっと信じてはもらえない
以下略



7:名無しNIPPER
2017/05/13(土) 23:40:14.74 ID:Dm/oP8pSO
「キャアアアアアアアアッ」
玄関のドアを開けようとした瞬間、お母さんの声が、ううん、悲鳴が聞こえた
びっくりして一瞬固まって、そして急いでドアを開けて家に飛び込んだ
そこで僕は見てしまったんだ
泣き叫ぶお母さんと、お母さんに抱えられた血まみれの赤ん坊
以下略



8:名無しNIPPER
2017/05/13(土) 23:41:18.05 ID:Dm/oP8pSO
その後は色々あった気もするし、大したことはなかった気もする
もう記憶が曖昧だけど、部屋は台風が過ぎたような状況になり、気づけばアライさんは姿を消していた
窓が割れていたから、きっとそこから逃げたんだと思う
そしてそれからの事は、その時思ったことはよく覚えている
僕がアライさんをこっそり部屋で飼っていたことは、当たり前だけどすぐにバレた
以下略



9:名無しNIPPER
2017/05/13(土) 23:42:10.58 ID:Dm/oP8pSO
酷い障害は残ったけれど、それでも妹は一命を取り留めた
それだけはまぁ、この一件における唯一の救いではあったと思う
それしか救いがないって時点で救いようのない話だけど
だからせめて、こんなことを少しでもこれから起こさないようにするために、あれからの俺は色々なことを学んだ
先達に教えを請い、やるべきことを淡々とこなしながら今を生きている
以下略



10:名無しNIPPER
2017/05/13(土) 23:43:02.53 ID:Dm/oP8pSO
「ううー、捕まってしまったのだ…」
ああ…このうざい口調は…
「ああっ、お前はあの時の人間なのだ」
少し、驚いた
まさか向こうも覚えているとは思わなかった
以下略



11:名無しNIPPER
2017/05/13(土) 23:44:05.35 ID:Dm/oP8pSO
「な、なんなのだ、冗談はやめるのだ」
ようやく俺が何をしに現れたのかを理解したらしい
初めてアライさんは怯えたような表情を見せた
いや、初めてじゃないな
子供の頃に最初に出会った時に浮かべていたのと同じ表情だ
以下略



12:名無しNIPPER
2017/05/13(土) 23:44:51.94 ID:Dm/oP8pSO
「助けてほしいのだ! アライさんは死ぬわけにはいかないのだ!」
アライさんが必死に訴える
「子どもたちが待ってるのだ! ご飯を持って帰らなきゃいけないのだ」
アライさんが泣き叫ぶ
「たす…」
以下略



13:名無しNIPPER
2017/05/13(土) 23:45:36.98 ID:Dm/oP8pSO
エピローグ

ご飯を探してくると言って出ていったママが帰ってこない
お兄ちゃんもお姉ちゃんも、気づいたらいなくなってしまった
どうしよう、お腹が空いて、寂しくて、あたまがくらくらする
以下略



14:名無しNIPPER
2017/05/13(土) 23:48:25.51 ID:uFKiJlIi0
アライさんは必死に生きた
人間も必死に生きてる
その結果とはいえ、悲しいな



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