6:名無しNIPPER[saga]
2017/05/14(日) 22:11:59.43 ID:bRKUQu2xO
少しずつ大きくなるステージ。
少しずつ長くなる列。
変わっていく私と、変われずにいる私。
その両方が私で。
7:名無しNIPPER[saga]
2017/05/14(日) 22:16:19.10 ID:bRKUQu2xO
ーいつか、きらめく舞台へ
いつからかみんなの合言葉になったそのスローガンを、どこか遠くから眺めている私もいて。
「私は…私は……」
8:名無しNIPPER[saga]
2017/05/14(日) 22:20:24.09 ID:bRKUQu2xO
いつからか、
「小さなお仕事」
という理由で、無意識に手を抜くようになっていました。
9:名無しNIPPER[saga]
2017/05/14(日) 22:23:33.67 ID:bRKUQu2xO
そんなとき、おじいちゃんから荷物が届きました。
小さなダンボールの、小さな荷物。
開けてみると、新聞紙にくるまれた小さなお茶碗。
おじいちゃんが焼いてくれた、備前焼のお茶碗。
10:名無しNIPPER[saga]
2017/05/14(日) 22:28:02.12 ID:bRKUQu2xO
『おじいちゃん、荷物届きました』
文字が震えていたのは、きっと私が弱いから。
『お茶碗を包んでた山陽新聞、おじいちゃんが読んだものだね。岡山の匂いがしました』
11:名無しNIPPER[saga]
2017/05/14(日) 22:35:04.52 ID:bRKUQu2xO
300人になった会場。
30人になった握手会の列。
少しずつ減っていくひとり言の回数と反比例するように、増えていく声。
12:名無しNIPPER[saga]
2017/05/14(日) 22:44:16.21 ID:bRKUQu2xO
そして今日。
大きな会場の、大きなステージ。
熱気は控え室まで届いてきて、背中に汗をかいてしまうほど。
13:名無しNIPPER[saga]
2017/05/14(日) 22:45:01.00 ID:bRKUQu2xO
ー藤原肇さん、時間です
スタッフの方の声で、我に返りました。
先に出番を終えていた比奈さんと裕美ちゃん、柚ちゃん、それに巴ちゃんから、思い思いの声が飛んできます。
14:名無しNIPPER[saga]
2017/05/14(日) 22:50:06.00 ID:bRKUQu2xO
大きな大きなステージの真ん中に私ひとり。
目の前には、数えきれない人、人、人。
それを前にして、声を失ってしまう私。
何も言えずに、立ち尽くしている私。
15:名無しNIPPER[saga]
2017/05/14(日) 22:52:56.03 ID:bRKUQu2xO
「藤原肇です」
気のきいたことを言えないのは、たぶん性格。
直ることはないと思います。
それでも、伝えたい思いがありました。
16:名無しNIPPER[saga]
2017/05/14(日) 23:00:33.19 ID:bRKUQu2xO
少しだけ落ち着いて、会場を見渡しました。
いろんな色のサイリウムが、ゆらゆらと揺れています。
その光の海を見て、思いました。
あのひとり言は、もう口にすることは無いんだって。
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