3:名無しNIPPER
2017/05/18(木) 01:21:22.89 ID:MqNS8RCY0
ナナが高校を卒業して以降、今も住み続けている6畳 1 間の小さな家。
ウサミン星。
ずっと寝ていると体が痛くなるほど薄い布団に、小さなぼろいお化粧台。
他にも必要最低限のものしかない(置く場所もない)このアパートを拠点としてアイドル活動を続けている。
もっとも拠点地としても、事務所からは 1 時間以上かかるなど利便性という点ですら救いようがない有様ですけど。
ごろんと畳に横になると黄ばんだ天井が視界に入る。
28歳。
別に誕生日が嫌いというわけでもないし、みんなに祝ってもらえることは素直にうれしい。
先月、地元の同級生が結婚するらしい、とお母さんから聞いたことを思い出す。
ナナの年齢を考えれば、決して珍しいことじゃないし、すでに子宝に恵まれている子だって何人も知っている。
ただ、そういった話を聞くたびに、ぼんやりと考えてしまうのだ。
もし、もしもナナが――
「……もう寝よう」
ライブまであと 1 週間。誕生日だからと気を抜けるわけもなく、もちろん明日もきついレッスンが待っている。
「おやすみなさい」
おやすみと言ってくれる人がいないことに。ほんの少しだけ寂しさを覚えながら。
明かりを消して、布団にもぐりこんだ。
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