36:名無しNIPPER[saga]
2017/05/20(土) 09:38:10.29 ID:uOLIBoN/0
小さな人影がかすんだ視界に映る。
「……」
あのとき部屋にいた、あのフードの女性がナナを見下ろしていた。
「……怖かったんです」
彼女はじっと黙って私の言葉を聞いている。
「みんな大学生活を楽しんでいて。恋愛もして。就職活動も苦労して。仕事の愚痴を言いあって」
みんなに置いていかれた時間はもう取り戻せなくて。
「私だけなにも進んでいないような気がして。私だけ、ひとり置いていかれてっ!」
彼女たちの背中を追いかけていたら今度は若い子たちに追い越されていって。
それが、どうしようもなく苦しくて。
「もう一度ききます」
彼女は静かにあのときと同じ、
「あなたの名前はなんですか?」
だけどあのときよりも優しい声で問いかける。
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