過去ログ - 【ミリマスSS】北沢志保「記憶を探して」 -SS速報VIP

過去ログ - 【ミリマスSS】北沢志保「記憶を探して」

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1: ◆uYNNmHkuwIgM[saga sage]
2017/05/24(水) 22:32:48.91 ID:+Sw9AwpX0

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2: ◆uYNNmHkuwIgM[saga sage]
2017/05/24(水) 22:34:50.12 ID:+Sw9AwpX0

＼キーンコンカーンコーン／

教室のスピーカーからチャイムの音が鳴り響いて、終わりのHRの始まりを告げる。

以下略

3: ◆uYNNmHkuwIgM[saga sage]
2017/05/24(水) 22:37:00.88 ID:+Sw9AwpX0

先生「よーし、みんな揃ってるな。今日は宿題を出そうと思う」

「宿題」という単語にすぐさま反応して、みんなが一斉に「えー」っと非難の声を出す。これも、ときどきあるよくある風景。

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4: ◆uYNNmHkuwIgM[saga sage]
2017/05/24(水) 22:38:17.62 ID:+Sw9AwpX0

先生「母の日は終わって、次は父の日だ。参観日もその日にあるし、みんなにはお父さんに向けて作文を書いてきてほしい」

その言葉をきちんと飲み込む前に、ドクっと心臓がはねる。一瞬、すーっと全身に寒気が走って、それを回避するように両手にギュッと力が入る。

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5: ◆uYNNmHkuwIgM[saga sage]
2017/05/24(水) 22:39:07.19 ID:+Sw9AwpX0

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トレーナー「ワン、ツー、スリー、フォー！どうした北沢？きちんと予習はしてきたのか？」

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6: ◆uYNNmHkuwIgM[saga sage]
2017/05/24(水) 22:39:57.82 ID:+Sw9AwpX0

トレーナー「よし！今日のレッスンは以上だ。矢吹は一通り振りが身体に入ってきたから、次は細かいメリハリを意識しよう」

可奈「はいっ！」

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7: ◆uYNNmHkuwIgM[saga sage]
2017/05/24(水) 22:41:56.31 ID:+Sw9AwpX0

可奈「志保ちゃん...あの、今日はどうしたの？」

レッスン後、シャワーと着替えを済ましてドリンクを飲んでいると、可奈が心配そうに話しかけてきた。

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8: ◆uYNNmHkuwIgM[saga sage]
2017/05/24(水) 22:43:24.72 ID:+Sw9AwpX0

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志保「ただいま」

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9: ◆uYNNmHkuwIgM[saga sage]
2017/05/24(水) 22:44:57.15 ID:+Sw9AwpX0

お母さんが食事ができるまでもう少しかかると言うから、部屋着に着替えて机の前に座って時間を潰す。

目の前には、黒猫のぬいぐるみが座っている。キーホルダー用の、少し小さなネコさん。もう何年も一緒にいる、大切な友達。

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10: ◆uYNNmHkuwIgM[saga sage]
2017/05/24(水) 22:46:17.32 ID:+Sw9AwpX0

あの人がいなくなったのは、きっと私のものごころがついた後だ。

きっと私はあの人ときちんと話をしていて、ハグをしていて、心を通い合わせていた。

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11: ◆uYNNmHkuwIgM[saga sage]
2017/05/24(水) 22:47:38.02 ID:+Sw9AwpX0

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夕食が終わり、弟はソファーに座ってテレビを見ている。私とお母さんはテーブルに座り、食後のお茶を飲んでいる。

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12: ◆uYNNmHkuwIgM[saga sage]
2017/05/24(水) 22:49:20.88 ID:+Sw9AwpX0

母「冗談はさておき、本当に大丈夫なの？志保？」

お母さんが同じ質問を繰り返す。冗談を挟んでもう一回質問をするのは、お母さんが何か確信している合図だ。

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13: ◆uYNNmHkuwIgM[saga sage]
2017/05/24(水) 22:50:37.04 ID:+Sw9AwpX0

お母さんにあの人の話をするのは嫌だった。いつも、とても苦しそうな顔をするから。

お母さんにそんな顔をして欲しくないし、私がお母さんのそんな顔を見るのも嫌だ。

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14: ◆uYNNmHkuwIgM[saga sage]
2017/05/24(水) 22:51:43.52 ID:+Sw9AwpX0

母「そっか...作文...」

あぁ、お母さんの顔がぐにゃりと苦痛に歪む。どうしようもない痛みに、ただ耐えようとする悲しい顔。

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15: ◆uYNNmHkuwIgM[saga sage]
2017/05/24(水) 22:53:09.95 ID:+Sw9AwpX0

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次のオフの日、私は電車に揺られていた。

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16: ◆uYNNmHkuwIgM[saga sage]
2017/05/24(水) 22:54:20.52 ID:+Sw9AwpX0

お母さんはあの日、私の知らない遠い場所の名前を出して、そこに行ってきて欲しいと言った。そこはお母さんとあの人が出会った場所だからだと。

そこにあの人に繋がる何かがあるのだろうか？お母さんに聞こうとしたけど、あまりにも辛い顔をしていたので結局聞けなかった。

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17: ◆uYNNmHkuwIgM[saga sage]
2017/05/24(水) 22:55:37.44 ID:+Sw9AwpX0

＼次はー◯◯！◯◯！／

電車のアナウンスが目的地の名前を告げる。私は乗車券と運賃を財布から取り出す。

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18: ◆uYNNmHkuwIgM[saga sage]
2017/05/24(水) 22:57:32.94 ID:+Sw9AwpX0

無人の駅を降りると、小さなロータリーが広がっていた。駅にはコンビニもない、あるのはお手洗いだけ。駅の近くのお店は全部シャッターが閉まっていて、何屋さんなのかもわからない。

こんなところで、私はどうすればいいのだろう？立ち止まっているばかりではここまでの電車賃がもったいないので、とりあえず気の向くままに歩いて時間を潰すことにした。

以下略

19: ◆uYNNmHkuwIgM[saga sage]
2017/05/24(水) 22:58:35.81 ID:+Sw9AwpX0

少し歩くと商店街に着いた。でも、やっぱりお店のシャッターは閉まってるところばかり。今日は確か日曜日なはずだけど、大丈夫なんだろうか？

十字路の前で立ち止待って考える。次はどっちに行こう。スマホの地図を眺めながら考えていると、私を呼ぶ声が聞こえた。

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20: ◆uYNNmHkuwIgM[saga sage]
2017/05/24(水) 23:01:05.31 ID:+Sw9AwpX0

その言葉を聞いてハッとする。それはあの人の名前。少ないながらも、私があの人について確信が持てる情報のひとつだった。

驚いて立ちすくむ私を見て、おばさんはさらに続ける。

以下略

21: ◆uYNNmHkuwIgM[saga sage]
2017/05/24(水) 23:02:32.46 ID:+Sw9AwpX0

連れていかれたのは商店街の片隅にあるバーだった。カウンターだけで10席もない小さなお店。

おばさん「営業は夜からだから散らかっててごめんね、何か飲む？ビールもウイスキーも焼酎もあるよ」

以下略

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