過去ログ - 夢野「強くてニューゲーム……って、ウチなのか？」ch.2-4『ダンガンロンパv３』
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773:名無しNIPPER
2017/06/12(月) 18:53:49.24 ID:EGJCvjV10
　時計の針が１２時４０分になるのを待ってから、川崎竜人（男子５番）はその場から動き出した。彼がつい先ほどまでいたのはＢ−０９、１時から禁止エリアに入る場所だった。本当なら廃校から出来るだけ離れず、急襲か何か出来ない物だろうか、と思っていたのだが仕方がない。
　注意深くゆっくりと、林の中を南に進んでいくと、誰かが倒れているのが分かった。−−生きているのか？それとも−−死んでいるのか？息を殺して近付くと、むっと鉄錆のような、血のにおいが広がっているのが分かった。木の陰からその人物をのぞき込んで、それがとうに事切れた若林美春（女子１７番）であることが判明した。近くに人の気配はない。不思議なことに美春の死体の横には、彼女の物と思われるディパックが手付かずのまま放置されていた。
むせ返るような血のにおいに竜人は顔をしかめたが、そっと美春の死体に近付いた。ナイフか何かで喉元を刺されたのだろうか。右の喉から赤い筋を作って血が流れており、仰向けのままその体の下に大きな赤い水たまりを作って、美春は目を見開いたまま絶命していた。竜人は美春のその瞼をそっと閉じさせると、彼女の物と思われるディパックに手をかけた。（ごめんな、でも使わせてくれよ？−−キミはもう、使えないから･･･）中はやはり手付かずだったらしく、水も食料も、そして武器（回転式拳銃・コルトパイソン３５７マグナム２．５インチ）も入っていた。竜人自身が支給された武器は大型の自動拳銃（デザートイーグル）だったが、もらっておくことにした。銃器類は多い方が有利だし、ここに放置して置いて、万が一やる気になっているヤツの手に渡ったら危険だ。
　ディパックを肩に掛け南に歩き出そうとして、竜人は立ち止まった。くるりと体の向きを変え、もう一度美春の側に歩み寄ると、左のポケットから白いハンカチを取り出して、美春の顔にふわりとそれをかけた。そして今はもう禁止エリアになって立ち入ることの出来ないＢ−０８を鋭い視線で睨みながら立ち上がり、南に向かって歩き出した。
　−−こんな国、絶対ぶっこわしてやる。そう、あの人に誓ったんだ。

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