過去ログ - 【艦これ】イ級(故郷の……に……帰りたい……)【安価とコンマ有り】
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[saga]
2017/07/04(火) 00:07:47.31 ID:ClK9PWtx0
提督「またここに居たか」
君は、提督が植えた桜の苗の側に座っていた。
結論から言えば、君は塩になってしまうことはなく、そのまま季節が過ぎ、一度目の春を迎えた。
駆逐棲姫「せっかくの花の季節だしね」
提督「結局、何故君が塩にならなかったかは分からずじまいだな」
駆逐棲姫「……、守りたかったのよ、故郷を。たぶん、海の同族が鎮まるまで、ここに居るんじゃないかしら?」
提督「それは心強いな。さて、君に手紙だ。ヲ級とリ級から」
駆逐棲姫「……、リ級は横須賀で元気にやってるのね。ヲ級は……とうとう北海道まで行っちゃったのね……。色々見て回ってくるって言ってたけど」
提督「付き合って振り回されてるヤツが気の毒になってきたよ。流石に一人であるきまわらせるわけには行かないから随伴をつけたんだが……」
駆逐棲姫「横須賀といえば、翔鶴は?」
提督「こっちに帰ってくると連絡があった。自分の目的は達成できたから、君の所へ戻るんだそうだ」
提督「連れて帰ってくれた恩があるから返したい、と言っていたらしい」
駆逐棲姫「私も随分翔鶴には助けられたから、別にいいのに」
菊月「もっとも、恩を返そうにも、君は無欲だからどうしたものか困るが」
時雨「そうだね、話し相手にでもなってくれればいい、なんてさ」
飛龍「でも、私達こんなにのんびりしてていいのかな? 普通なら前線に送られそうだけど」
提督「気が向いたらでいい。君ら『原本』は先の大戦で十分頑張ったんだ。君らに必要なのは、休養だよ」
提督「もちろん、君たちが戦場で勝利を望むなら、私は最大限、期待に応えるがね」
装甲空母姫「あ、居た!」
駆逐棲姫「おかえりなさい。出撃、どうだった?」
装甲空母姫「……、つかれたけど、駆逐棲姫ちゃんにおかえりって言ってもらえればそれで満足よぉ」
駆逐棲姫「あなたも、どこかに帰りたかったのかしらね」
装甲空母姫「多分。でも私は場所じゃなかった気がするわぁ」
提督「家族、残してきた誰か。といった所か」
君は、一緒に帰るために旅をした仲間と、また、鎮守府であらたに出来た友人と、ゆっくりとした時を過ごす。
たったひとりで海に居た時と違い、今は騒がしいけれど、とても幸せだと思えた。
駆逐棲姫「……ずっと続けばいいな……」
君はしばし海を眺め、それからゆっくりと立ち上がる。
駆逐棲姫「……さて、そろそろお昼じゃないかしら? 食いっぱぐれるのはごめんよ?」
今しばらく、この幸せに浸っていよう。
君は皆に笑顔を向けた。
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