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858:名無しNIPPER
2018/07/10(火) 00:45:51.29 ID:Aj3qkjjO0
【艦これ】提督「ブラック鎮の実態」


提督「君はブラック鎮守府というものを知っているかな？」

提督「大雑把な言い方をしてしまうと『出撃・遠征・演習などで２４時間艦娘を酷使し、戦果のためならば
　　　多少の犠牲もいとわない鎮守府』というのが、海軍が定めるブラック鎮守府の定義だ」

提督「もちろんこの定義をさらに上回るブラック鎮守府も存在した……いや、今でも存在するか」

提督「とうに禁止された『捨て艦戦法』や『合意に基づかない慰安艦』などを、隠れて行っているらしい」

提督「禁止されている以上、上層部にばれれば軍法会議に掛けられる」

提督「前者はよくて前線送り、悪ければ銃殺刑。後者は基本的に『陸戦隊♂での慰安任務』が課せられる」

提督「……話を戻そう。艦娘の人権がある程度確立した今、ブラック鎮守府とは『休みなく艦娘を酷使する
　　　鎮守府』ということになる。表面上はな」


提督「だが、ここでちょっとだけ……ほんのちょっとだけでいいので、想像力を働かせてほしい」

提督「具体的には『２４時間艦娘を酷使する』という点だ」

提督「提督の命令でなくとも、深夜や早朝の出撃を希望する艦娘は少なくない」

提督「代表的な例として、川内型軽巡洋艦１番艦・川内が挙げられるだろう」

提督「彼女は夜戦をこよなく愛している……というより、昼間は寝不足から戦力に換算することはできない」

提督「つまり彼女を戦力に組み込もうとすれば、当然夜間の出撃を行うしかないわけだ」

提督「もちろん彼女を戦力に組み込まないことも考えられるが……それが不可能なことは、君が提督になれば
　　　嫌でも……ほんっっとうに嫌でもわかるだろう」

提督「でだ。夜間の出撃とはいえ、戦況を把握し進撃・撤退の可否を判断する者が必要だ」

提督「さらに帰投した艦隊の損害を損害を鑑み、入渠などの指示を出す者も必要になる」

提督「それを行うのは誰か？　……言うまでもない。我々提督だ」


提督「ここで少し、視点を変えてみよう」

提督「昼間の作戦行動は、主に海域攻略や大規模作戦への参加がメインだ」

提督「当然手を抜くことなどできないし、仮に手を抜けば鎮守府全体の評価に影響してくる」

提督「具体的には補給資源の削減や、新装備の配備を後回しにされてしまう」

提督「鎮守府の評価を上げ新装備を早期配備してもらうことは、艦娘の安全を確保するための絶対条件だ。
　　　今ある戦力で最大限の戦果を上げることは、提督にとって義務ともいえる」

提督「夜戦は夜戦で少しの油断が艦隊の窮地を招くことになるため、一瞬たりとも気が抜けない」

提督「寝惚けて大破進軍など許可しようものなら艦隊は壊滅的な被害を受け、轟沈する艦娘も出るだろう」

提督「そういう意味では、昼間の作戦行動よりシビアであるといえるな」

提督「もちろん提督の仕事は艦隊の指揮だけではない。上層部への報告書の作成、資材や資源などの管理、
　　　各艦娘の能力や個性の把握なども欠かすことのできない仕事だ」

提督「艦隊が出撃中にそんな仕事をする余裕などないことは、今更言うまでもないだろう。そうした仕事は
　　　艦娘の休憩時間中に片付けねばならない」

提督「要約すると『出撃したがる艦娘を宥め』『出撃中は艦隊の指揮を執り』『出撃がない時間に膨大な
　　　書類を処理しつつ』『艦娘と接する時間を作る』……これが提督の仕事だ」


提督「えっと、何の話だったか……ああそうそう、ブラック鎮守府の話だったか。すまんな、ここ数日は
　　　軽いうたた寝を日に数回とる程度だったので、少々頭が回ってないようだ」

提督「もし君が『多少の無理をしてでも早急に戦果を上げたい』などと考えているなら、できるだけ早く
　　　考え直すことを強くお勧めするよ」

提督「せっかく提督になれるというのに、前線送りや陸戦隊♂の慰安任務になんてつきたくないだろう？」

提督「……ん？　顔色が悪いが、大丈夫かね？　何なら医務室に寄って、ウチの明石に診てもらうといい」

提督「彼女の処方する薬を打てば、軽い体調不良や多少の疲れなどすぐに吹っ飛んでしまうぞ」

提督「……いらない？　まあ君のように若ければ、多少の不調は気合でどうにかなるか」

提督「さて、そろそろ艦隊が戻ってくるか……見送りには行けんが、気をつけて帰り給え。えっと、この
　　　次に出撃する艦隊は…………」

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