過去ログ - 佐城雪美「今なお暮れつつある日に」
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8: ◆K5gei8GTyk[saga]
2017/07/15(土) 20:41:26.57 ID:H6bsipiu0
 どうやら私がどこかへ出かけるというよりは、私が猫をどこかへ送るらしい。



 電車は減速する。猫は不意に目を覚まして、私の膝から降りる。どこかでドアの開く音がする。


 その場で大きく伸びをして、ドアの元へ走ってゆく。彼女の名を口にする。

「  」

 その言葉は瞬く間に、夕闇に霧散してしてしまう。

 それでも猫は一度だけ振り返ると、またすぐに向き直って行ってしまった。

 ドアが閉まる。


 窓の外は、今なお暮れつつある。



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