過去ログ - 【モバマスSS・速水奏】《Home》
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◆hAKnaa5i0.
[saga]
2017/07/29(土) 16:42:22.65 ID:vf2bp9nY0
古澤頼子から美術館のチケットが送られてきたのは仕事を休んでからひと月ほど経ってからのことだった。
ゴーギャン展のチケットだった。
奏は休日に美術館へ向かった。
見たいものがあるわけではなかった。
頼子の好意を無駄にしたくない、という義務感を感じているわけでもなかった。
美術館に来たのはほんの気まぐれにすぎない。
元々、静かな場所は嫌いではなかった。
ゴーギャン展の目玉は一枚の絵画だった。
ゴーギャンが晩年に残した作品だ。
『我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか』
奏はその絵に目が奪われた。
ゴーギャンはこの絵を描く前に娘を亡くしている。
ゴーギャンはこの絵を描き上げて間もなく亡くなっている。
彼は何を考えていたのだろうと奏は考えた。
我々はどこからきたのか。我々は何者か。我々はどこへいくのか。
私はどこからきたのか。私は何者か。私はどこへいくのか。
私はどこにいるのか。
奏は頭痛を覚えた。
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