730:名無しNIPPER[saga]
2017/11/29(水) 03:14:02.75 ID:6C7ZJzN00
時計は二十三時を示していた。
もうこんな時間にまでなっていたのか。
「お兄ちゃん学校戻るの?」
「あーうん」
「明日九時に出るから、朝起こしにきてくれると嬉しい」
「できたらな」
「ありがとう」
手持ち無沙汰をごまかすように、頭にぽんと手を置く。
彼女は戸惑ったようにじとっとした目を向けたが、すぐに目を閉じて首をこちらに倒した。
これでいいのかな、と思う。
だめ。ではあるはずだけれど、彼女を前にすると、何も言えなくなる。
しばらくすると彼女は俺の布団にごろんと入って、数分とも経たぬ間にすやすやと寝入り始める。
あの、蕩けた目。声。表情。
……はあ、とことんだめだな俺は。
結局家を出たのは(シャワーを浴びたり着替えたりしていて)日付が変わるまでにずれ込んでしまった。
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