802:名無しNIPPER[saga]
2017/12/05(火) 00:20:08.85 ID:HHfyV3AE0
佑希が泣き散らかして自室に戻った後、母さんは額を手で押さえながらうんざりした顔で俺の名前を呼んだ。
疲れ切った顔だった。話は三十分以上続けられていた。俺は聞いていない振りをしていた。
娘は母親に一番影響を受け、一番似てしまうものだ、とそこかしこで聞いたことがある。
その通りだと思う。佑希と母さんの性格は酷似している。
溜まったストレスを発散するために、誰か都合の良い存在を求めてしまう。
佑希の愚痴人形が母さんであるように、母さんの愚痴人形は俺だった。
──あの子、いつになったらあなたに勝てるんでしょうね。
──それまで、私はずっとこんなしたくもない慰めをかけなきゃならないのかな。なにか、きっかけがあればね。
──……そうだ。
──お兄ちゃんなんだから、負けてあげなさい。
母さんのふと呟いたそのひとことが、この状況のすべての始まりだったように記憶している。
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