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946:名無しNIPPER[saga]
2018/01/10(水) 14:19:00.75 ID:LnmL9/o10

「こより先輩」と私は覚えてる限りで初めて彼女の名前を呼んだ。

「……ん」

「私に、力を貸してください」

 遅れた答えを、彼女に発した。
 胡乱なままにせずに、ちゃんと言葉にして、確定させる。

「うん、わかった」

 晴れやかな表情で、私の前にもう一度手のひらを差し出した。

 その手を、私は躊躇なく手を取る。
 そうしてほしいという気持ちが、どこからか伝わってしまっていたみたいだ。

「そんでさ、どんな絵を描きたい?」

 にこにこ調子のまま、彼女は小首を傾げる。

 その質問に対しての答えは、既に用意しているつもりでいた。

 今じゃなくても、と彼女は言うかもしれない。
 でも、私ができること。あと数日に迫った締切日までに、私が何かを描けるとしたら。

「あの──少しだけ、考えていたことがあるんです」




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