964:名無しNIPPER[saga]
2018/01/31(水) 17:55:30.50 ID:bbAsJ8Or0
触れていると、安心できる。
それは、奈雨が言っていたことと重なる。
聞いてすぐにはあまり判然としなくて、けれど、ここ数日で少しずつ意味を理解してきたように感じる。
"今まで"が全く別物であったり、"これから"が不透明であったとしても、"今このとき"どこかに触れてさえいれば、
その瞬間の自分と相手の関係については、他の誰よりも近くにいると保証できる。
奈雨が伝えたかったのは、恐らくこういうことなのだろうと思う。
……それが、肩や手ではなく唇なのはともかくとして。
「えっと、白石くん。あの、さりげなくでいいからさ」
先輩は呟き声で言って、身じろぎしつつもどうにかして恥じらいを捨てようとしたのか、咳払いをしてから俺に正対した。
「あの……私の教えが良かったー、とか? おせわになりましたー、とか……。
そういうことを言ってもらえると、私としてはありがたいかなーって」
あー……。
「いや……私の教えも何も別に大したこともしてないんだけど、一応その、さっき言った通りボランティアじゃない?
だから、対価って言ったら聞こえは悪いかもしれないけど、うん。そんな感じで、よろしくできないかなって」
すっげえ面倒な性格してんな。
まわりくどいにも程がある。
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