319:1 ◆ZXqVVWPHtc[saga]
2017/10/10(火) 01:12:51.93 ID:krx+TeARo
┏──────────────────────────────────┓
鄴の街では大路が集まり、
城壁の四隅に赤い門楼が立てられている。
石橋が高く架けられ、漳渠から水を引いている。
320:1 ◆ZXqVVWPHtc[saga]
2017/10/10(火) 01:14:10.26 ID:krx+TeARo
┏────────────────────────────────────────┓
無数の貴人たちと庶民たちが行き交うが、
ここでは老人は大切にされ、荷物を提げている者は無く、旅人たちも道を譲り合う。
街には三つの市場が開かれ店が置かれているが、そこは八方に通じる大路に面した場所である。
321:1 ◆ZXqVVWPHtc[saga]
2017/10/10(火) 01:14:37.73 ID:krx+TeARo
┏───────────────────────────────────┓
あらゆる地方の人々が一同に会するため、
多種多様な風俗の珍しい姿を見尽くす事ができる。
証文を公平に用いて商売し、数限りない貨幣が用いられる。
322:1 ◆ZXqVVWPHtc[saga]
2017/10/10(火) 01:16:09.98 ID:krx+TeARo
┏────────────────────────────────────┓
さて、強き敵が方々に入り乱れ、
天下に安寧の地が無くなるに及び、聖武は号令を下し、優れた武徳を轟かせようとした。
甲冑を重ねて纏い、旗印を高く掲げ、弓を弓矯めから外し、矛の羽飾りを翻した。
323:1 ◆ZXqVVWPHtc[saga]
2017/10/10(火) 01:17:33.43 ID:krx+TeARo
┏────────────────────────────┓
三属の甲冑を纏い、質素な冠の紐を用い、
弓を引いて狙いを定めるその腕前は、かの更嬴にも劣らなかった。
┗────────────────────────────┛
324:1 ◆ZXqVVWPHtc[saga]
2017/10/10(火) 01:18:40.30 ID:krx+TeARo
┏───────────────────────────────────────┓
鎧の下に練絹を纏った歩兵たちに鋭利な枝矛を持たせて整列させ、偏衣を着て指揮を執った。
出征する時は必ず道理に従って行動し、奇正を併せ用いて四方の敵を討伐した。
325:1 ◆ZXqVVWPHtc[saga]
2017/10/10(火) 01:20:22.43 ID:krx+TeARo
┏─────────────────────────────────────────────┓
兵を動かし数十年。
その切れ味はより鋭くなり、三度接して三度勝ちて、昼も夜も戦い続けた。
326:1 ◆ZXqVVWPHtc[saga]
2017/10/10(火) 01:21:47.67 ID:krx+TeARo
┏──────────────────────────────────────┓
海中の島で武器を洗い、川の中洲で馬を洗い、
軍隊を整えて車輪の音を響かせながら、旗を長く広く靡かせて帰還する。
魏都に凱旋するや、臣下と共に酒宴を設け、広く戦功に報いるために爵位を分かち与えた。
327:1 ◆ZXqVVWPHtc[saga]
2017/10/10(火) 01:22:51.62 ID:krx+TeARo
┏──────────────────────────────────────────┓
この時に至ると、東方も西方も正しい秩序に従って帰順し、荊南・朔北の民も従順な正道に目覚めた。
彼らは四方から長々と続く道程を
幾多の山を越え、幾多の川を渡り、献上の品を背負い、何人もの通訳を介して貢物の箱を差し出した。
328:1 ◆ZXqVVWPHtc[saga]
2017/10/10(火) 01:23:47.37 ID:krx+TeARo
┏───────────────────────────────────────────┓
夜も更けない間から、庭の篝火は赤々と燃え、
大勢の客には中華の民と蛮夷の民が混じり、立派な冠を着けた者もいれば、高く辮髪を結った者もいた。
清酒は済水の如く流れ、濁酒は黄河の如く溢れ、氷を浮かべた冷酒もあり、波を立てた温酒もあった。
329:1 ◆ZXqVVWPHtc[saga]
2017/10/10(火) 01:25:06.25 ID:krx+TeARo
┏────────────────────────────────────────────┓
地の果てまで平和となり、人々は残らず善に赴き、
天が降した幸いに身を浸し、純粋な美徳に心を委ねた。
余った穀物は田畑に置かれたまま盗まれもせず、王の徳を称える声が満ち溢れた。
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