過去ログ - 武内P「今日はぁ、ハピハピするにぃ☆」
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231:名無しNIPPER[sage saga]
2018/06/26(火) 23:05:33.32 ID:dIzUtERDo
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「――!」


 大きな手が、指が、キーボードの端から端へと滑っていく。
 そして、締めは一番右端。
 一番高いドの音が、ピンッ、と響いた。
 こんなの……こんなの、もうっ!


「いえーいっ!」


 テンションが上がって、しょうがない!
 両手を上げて、プロデューサーの方に、近づいて行く。
 何をしようと察したのか、プロデューサーも、戸惑いつつも、両手を上げた。
 おいおい、演奏してる時はあんなに楽しそうだったに、終わったらすぐそれか!?


 ――パァンッ!


 なーんて、まあ、良いか!
 あたしが二人分笑ってるから、それで十分だろ!


「それにしても……手、大きいなぁ!」


 打ち合わせた手をそのままに、大きさを比べる。
 あたしの手よりも随分と大きいそれは、合わせてみるとその差は一目瞭然!
 あっはは、あたしの手がスッポリ収まるサイズだぞ!
 そうだよなぁ、これだけ大きい手だったら、ピアノの演奏も――って!


「うわーっ!?」


 あたしは何をやってるんだー!?
 いくらテンションが上がってたからって、てっ、手と手を合わせるなんて!
 いや、握手会とかで、男の人の手を握りはするけど!
 でも、だけど、今のは……うわあああ!? うわああああ!?


「……」


 急に飛び退いたあたしを見ながら、右手を首筋にやって困った顔をしてる。
 そっ、そんな顔するなよな!? あたしだって、驚いたんだから!
 く、くっそう……ジメジメしてるからか、歌ったからか、すっごく暑い!
 顔が熱くて……うううっ、タオル! 早く、タオルを!


「……どうぞ」


 ……そう思ってたら、当初の目的だったタオルが、差し出された。
 いや、ちょっと待ってくれよ……あたし、そんなに汗かいてるのか!?
 何も言わなくても、タオルを差し出されるくらい!? 嘘だろ!?


「ど、どうモっ!」


 ぐわあああ! 今、声が裏返った!
 って、変に目を逸らされると、余計に気まず――


「――あっ」


 流し目につられて見た窓の外は、いつの間にか雨がやんでいた。


 そして、広がる青空には、大きな……大きな虹がかかっていた。



おわり


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