過去ログ - 武内P「今日はぁ、ハピハピするにぃ☆」
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820:名無しNIPPER[sage saga]
2018/07/12(木) 23:40:20.83 ID:0SRwFozAo

「もう、戻ってきたんですか?」


 入ってきたのは、さっきまで見ていた椅子の――いや、この部屋の主。
 シンデレラプロジェクトの、仕事人間のプロデューサーさんその人だった。
 時計を確認しても、戻ってくるには、早すぎる。
 ちゃんと休憩して……ないわよね、明らかに。


「はい。少し、急いだので」


 急いだって……急ぎすぎですよ、プロデューサーさん!
 ちゃんと時間通りに休憩に行っても、こんなに早く戻っちゃ意味がないです!
 良いですか?
 専務の改革で、こういう所もキッチリするよう言われてるんですから。


 ――そう、言おうとする前に、


「適当に、買って来たのですが……」


 お好きな物を選んでください、と、左手に持っていた袋を掲げて見せられた。


「買って来た……って、私にですか?」


 投げかける疑問に答えず、プロデューサーさんが歩み寄ってくる。
 よく見ると、その額には少し汗が滲んでいて、本当に、急いで戻ってきたらしい。
 机の上に置かれた袋が、カサリと音を立てる。
 大きな手が、袋の口を開くと……その中には、四種類、四つのアイスが入っていた。


「いつも、差し入れをしてくださる……お礼です」


 表情を変えずに言うその姿は、知らない人から見れば、ぶっきらぼうに感じるだろう。
 でも、いい加減、短くは無いと言い切れる程度に、一緒に仕事をしてきた仲ですもの。
 私に気を遣わせないために、そう言って。
 私に気を遣って、そうしてくれたんですよね。


「まあ、ありがとうございます♪」


 だから、私はその心遣いをちゃんと全部受け取るため、そう言った。
 遠慮は美徳かも知れないけど、この場合は、逆に困らせてしまうだろうから。
 それに、疲れてたし、今日は凄く暑いから、アイスは嬉しい。
 思わず、笑みがこぼれてしまった私に、プロデューサーさんは、


「他の皆さんには――」


 と、右手を首筋にやりながら言いかけたから、


「――はい♪ 内緒ですね?」


 私は悪戯っぽく、人差し指を唇に当て、言葉を引き継いだ。


 プロデューサーさんが、アイドルに隠し事なんて困るでしょ?
 そういうのは、アシスタントの私に任せてください。


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