過去ログ - 武内P「今日はぁ、ハピハピするにぃ☆」
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942:名無しNIPPER[sage saga]
2018/07/16(月) 13:00:35.15 ID:crtiB4eCo

「本当に、良いのかい?」


 談話スペースの椅子に腰掛けながら、視線を向けずに言う。
 私の隣に座るのは、無口で表情に乏しく、不器用で……とても、誠実な男だ。
 彼もまた、色々と思う所があるのだろう。
 だが、それを踏まえて尚、下した決断を変えるつもりが無いのは、伝わってくる。


「はい」


 何とも短い返事じゃないか、ええ?
 ……いや、そうとしか、言えないのかも知れないね。
 もしも私が君の立場だったとしたら、恐らく、同じ様な返ししか出来なかったろう。
 それ程、君が決めたことは、とても重大な事なのだから。


「彼女達は、階段を登り始めました」


 彼の言葉に、一抹の寂しさを感じたが、それ以上に、喜びが勝っているようだ。
 シンデレラプロジェクトのメンバー達は、今ではもう立派なアイドルだ。
 輝くステージを眺めるのではなく、そこに立ち、自らも光り輝いている。


 憧れるだけの少女ではなく――憧れられる、シンデレラガールズとして。


「目指す場所は、同じですが……」


 彼女達は、日々、努力を重ねている。
 その方法はとても様々で、同じものはない。
 個性的なメンバー故か……いや、誰一人同じ人間が居ないのと同じで、当然だ。
 だからこそ、その輝きが合わさった時、目が離せない程の光景を産んだのだ。


「……もう、時計の針は動き出しましたから」


 目線を向けずとも、彼の口の端が上がっているのが、わかる。
 君も、彼女達と関わって、随分と変わったものだ。
 はっは! 無口な車輪では、いられなくなってしまったねぇ!


 だが、それで良い。



「シンデレラプロジェクトを解散します」



 君は、彼女達に魔法をかけたのだから。


 彼女達は、プロジェクトの枠組みがなくとも、立派に輝いていけるだろう。
 いや、むしろ、シンデレラプロジェクトの存在が、彼女達の枷になる可能性が高い。
 枠組みの中に収めるのも大事だが、彼女達は、籠の中に収まり切るような、
そんな単純なものではない――個性的な、メンバー達だからね。


「本当に、良いのかい?」


 再度、問いかける。


「はい。もう、決めた事ですから」


 低い声が、力強く、響いた。


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