過去ログ - 武内P「あだ名を考えてきました」
1- 20
913:名無しNIPPER[sage saga]
2018/05/22(火) 01:27:53.46 ID:IjUSJCFQo

「……」


 布団の中で転がって、仰向けになる。
 そして、そのままゆっくりと両手で布団をひっぱって、顔を出す。
 でも、見せてあげるのは、目元まで。
 貴方が、綺麗以外の褒め言葉を送ってくれた、青と緑の二つの瞳だけ。


「……」


 私の目を真っ直ぐに見つめる彼の黒い瞳は、とても優しい輝きを放っている。
 何時まで経っても顔を全部見せない私に、どうしようもない人だ、と、目が語りかけてくる。
 でもね、そんな風に思われてるのに、それがとても嬉しいの。


 だって、これってとっても凄い事だと思わない?


 どうしようもない人だと思う以上に、傍に居たいと思ってくれてるって事でしょう?


「……ふふっ!」


 いけない、声を出して笑っちゃった。
 きっと笑っちゃうと思ったから、口元は隠してたのに。
 ほら、私が笑ったのを見て、彼もほっとした顔をした。
 強引に寝かしつけようとした仕返しをしようと思ったのに、うまくいかないものね。


「一人で、起きられますか?」


 彼の左手が、額にかかった前髪を軽く梳く。
 その感触がとても心地よくて、ずっと、このままこうしていたい気もしてくる。
 だけど、それは彼の真心を台無しにっしちゃう選択。
 お粥、冷めちゃうもの。


「起きられませーん♪」


 布団から顔を全部出して、元気に返事。
 これで、ちょっとは察してくれれば……あっ、駄目ね、全然気付いてないわ。
 彼は苦笑し、左手を私の首と枕の間に滑り込ませた。
 うふふっ! もうっ、ちょっとくすぐったかったじゃないですか。


「……起こしますね」


 抵抗、してみようかしら?
 なんて、この人は力が強いから疲れるだけよね。
 ほら、今もこうやって、体に力を入れなくても上半身が起き上がっていくもの。
 あっ、これでマッサージ機能があったら、温泉気分も味わえるかも。


「んーっ♪」


 でも、温泉もしばらくお預け。
 うっかり滑って転んじゃうかもしれないし、無理は絶対に出来ない。
 長距離の移動で体に負担もかけなくないし、ね。
 だから、こうやって、貴方の胸で暖めていただけます?


「……」


 優しく、頭を撫でられる。
 彼からは、甘くない、お粥に入れるために刻んだであろう、ネギの香りがした。


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
1002Res/553.82 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice